心理メカニズムがわかれば
気持ちがラクになる

 このような認知の歪みのある人は、「人から見下される」のではないかといった不安を抱えている。だから人のちょっとした言動にも過剰に反応し、「バカにされた」と歪んだ受け止め方をして、被害感情を持つ。要するに、本当は自信がないのである。

本連載の著者・榎本博明さんの
『かかわると面倒くさい人』が好評発売中!
日本経済新聞出版、850円(税別)
職場で「面倒くさい人」に
悩まされていませんか?

規則にこだわる人、会議で対抗心を燃やす人、些細なことで大騒ぎする人といった面倒くさい人に振り回され、ストレスを感じていませんか。そんな人たちの心理構造を説き明かし、適度なかわし方などを伝授します!

 このように相手の認知の歪み傾向がわかったとしても、それを変えさせるのは非常に難しい。こちらから何か言えば、かえって関係がこじれてしまう。誰だって自分の弱点や歪みを指摘されるのは気持ちよいものではないし、それが当たっていればいるほど、自己防衛意識が強くなり、反発心が湧くものである。

 では、どうしたらそのような人と上手く関わっていけるのか。

 ここはまず自分の精神状態をいい状態に保つべきだろう。相手にイライラしていると、相手の思うツボ。自分自身がストレスを溜め、仕事の質も落ちてしまい、人に対して攻撃的な反応をしがちになる。相手の歪みのせいで、自分の仕事や人間関係に支障が出るのはバカバカしい。

 そこで重要なのが、そうした認知の歪みを持つ人の心理メカニズムを理解することである。あの人がなぜこんな嫌らしいことをするのか(その人がオドオドする人なのか、孤立している人なのか、あるいは生意気な言い方をしている人なのか、仕事ができない人なのか、自分より仕事ができることに嫉妬をする人なのか、など)、その心理メカニズムがわかれば、それだけでもイライラは軽減する。今回取り上げたBさんがAさんに対して攻撃的なのは、自分より仕事ができることに嫉妬している可能性が高い。

 そして、もう一つ大切なのは、好意を悪意に受け止めてしまうほど強烈な認知の歪みを持っているため、不用意な声かけは慎むことや関わり合いを避けることはもちろん、自分を理解してくれる同僚や上司と協力し合う関係を作り、攻撃されないようにすることである。

 皆さんの職場で攻撃的な人に悩まされているのであれば、上述したことをヒントに、対処法を実践してほしいと思う。

(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)