定年後の雇用保険の失業給付説明図

 65歳未満の離職者が受け取れるのは「失業等給付の基本手当」であるのに対し、65歳以上の離職者は「高齢者求職者給付金」と呼び名が異なる。さらに受け取れる基本手当日額の日数も大きく違う点に注目したい。

 日数が多いのは65歳未満で離職した場合。20年以上の被保険者期間なら150日分受け取れる。ところが、同じ条件で65歳になってから離職すると、50日分と3分の1になってしまう。離職前の賃金等細かい条件によって金額の差は変わってくるが、離職日によって40万~50万円の違いにもなることを知っておきたい。

 注意したいのは「退職日」の設定である。たとえば8月1日の誕生日で65歳になる人の場合、法律上は誕生日の前日の7月31日が「65歳」になる日なのだ。

「65歳未満」で離職するには、誕生日の前々日、7月30日までに退職しなくてはならない。退職する日が1日違うだけで、数十万円も受取額が変わってくるのだから、このことはしっかり覚えておこう。

 実際には退職日を65歳以降にしたほうが厚生年金の額が多少増えるなど(加入期間が1ヵ月多いから)、他の比較ポイントもあるが、トータルで見ると、法律上の64歳のうちに退職日を設定するほうが金額的なメリットは大きい。

 定年後、65歳まで働き続け、いよいよ完全リタイアを迎えるとき、退職日の希望は人事に伝えよう。

 定年以降に社会保険から受け取れるお金は、厚生年金、雇用保険それぞれが併給調整をしているので仕組みは複雑だ。勤務先が退職セミナーを開催してくれるなら、参加はマストである。配偶者同伴可なら、妻も誘おう。

 セミナーに参加する前に、定年前後の制度手続きをまとめた書籍やムック本を1~2冊買って読むことをお勧めする。初めて聞く言葉は、頭に入りにくい。先に制度の概要と選択ポイントだけでもイメージできると、退職セミナーの説明は「自分事」として聞くことができ、質問、確認すべき点が浮かび上がってくるのだ。

 勤務先が退職セミナーを行っていないなら、書籍で勉強だ。わからない点、どちらを選択するといいのかは、人事部、総務部など該当部署に質問する。それでも迷ったときは、年金のことなら最寄りの年金事務所へ行き相談するといい。

 年金事務所の相談員は、職員のほか、自営の社会保険労務士が当番で担当していることも多いので、年金相談で当たった人が質問しやすかったら「雇用保険詳しいですか?」と尋ねてみるといいだろう(得意、不得意はあるようだ)。

 60歳以降の働き方は、後悔のないよう「調べ尽くして、自分で決める」ことを実践してほしい。

(株式会社生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)