ビール市場6年連続減の中、キリンが新ジャンルで首位奪還の裏事情キリンが手掛ける各流通の新ジャンルPB。国内製造であること強調して品質の良さをアピールする Photo by Akira Yamamoto

ビール大手各社の上半期(1~6月)の課税出荷数量は6年連続で過去最低を更新した。大きくシェアアップしたのは、昨年独り負けを喫したキリン。雪辱を果たした格好だが、その内容には他社から疑問の声も上がる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

新ジャンルが唯一
増加に転じたカラクリ

「こういう形が許されるなら、何が何でもPB(プライベートブランド)を取りに行くことになるね」。あるビールメーカーの幹部は、ビールシェアの発表を見て毒づいた。

 11日に発表されたビール大手5社の上半期の課税出荷数量は、ビール類全体が1億8337万ケースで前年同期比3.6%減となり、上半期として6年連続で過去最低となった。

 種別ごとに見ると、ビールは8823万ケースで同6.3%減、発泡酒は2414万ケースで同8.4%減。新ジャンルが7099万ケースで同1.9%増だった。

 新ジャンルが唯一増加に転じた。だが、この増加にはカラクリがある。

 今春以降、キリンビールは、ファミリーマートやローソン、イオンなど流通各社の新ジャンル商品のPBの製造を矢継ぎ早に受託した。