のどごしストロングと本麒麟新発売ののどごしストロング(中)と本麒麟(右)。一過性で終わらない継続的なブランド育成が重要だ Photo by Akira Yamamoto

 ビール大手の中で独り負け状態だったキリンビールが今年に入り絶好調だ。昨年は大手4社の中で唯一ビール類のシェアを落としたが、今年1~3月の販売数量は市場平均が約1%減の中、前年同期比5%増と健闘し、シェアを伸ばした。

 キリンに何が起きたのか。けん引役は、課題だった新ジャンルの新商品群だ。1月は人気の高アルコールカテゴリーに向けて「のどごしストロング」を、3月はビールの味わいを志向した「本麒麟」を発売し、4月時点でそれぞれ販売数量140万ケースを突破した。

 本流のビールでも、主力ブランドである「一番搾り」が、昨夏のリニューアルからの拡販が軌道に乗り、缶では3月まで8カ月連続で対前年比増と、波に乗る。

負け戦の危機感と改革

 逆襲の背景には、昨年来、布施孝之社長が続けている改革プロジェクトがある。

「いまは負け戦をしているんだという危機感と、新たな取り組みを、全国の営業所を巡回して社員と共有してきた」と、布施社長。