タイムカードはあくまで自己申告だが、「離席時に『着席』のままにしておくといった、ズルをする社員はいない」(田澤氏)という。このツールには、本人が着席申告している間はPC画面をランダムに保存する機能が付いており、遠隔地にいる上司が後でその内容を簡単に確認できるからだ。社員が「着席」のまま長時間席を離れると、同じ画面が続いたり真っ黒な画面になるので、管理者からは社員の勤怠状況が一目瞭然というわけである。

 この仕組み、管理職にとっては重宝だが、社員にとっては監視されているようで気苦労ではないのだろうか。意外にもそうではなく、「社員からの評判は良い」(田澤氏)という。自分の生活空間で仕事をする在宅社員は気持ちのオンとオフを切り替えにくいが、この仕組みがあると気が引き締まるし、何より「上司にさぼっていると疑われていないだろうか」というストレスから解放されるからだ。

 テレワークでも時間管理のツールがあれば、上司と部下の間に信頼感ができ、同僚間でも業務の不公平感がなくなる。また、在宅者の管理が行き届かないことによる長時間労働も避けられる。「働き方は柔軟だけど『きちんと働く』というポリシーが大切」(田澤氏)なのだ。「人の気持ち」に配慮すれば、理想的なテレワーク環境の構築は難しいことではない。

働き方改革を成功させる
「3つのポイント」

「ただし」と、田澤氏は付け加える。真の働き方改革を達成するためには、テレワークだけを考えても不十分だというのだ。改革の大きな流れを考え、その中に適切に位置づけてこそ、テレワークは生きてくる。企業が目指すべき働き方改革のポイントは3つある。

 第一に、時間あたりの生産性の向上だ。長時間労働を是正しようと労働時間を単純に削るだけでは、仕事の生産量も減ってしまう。経営者や管理職にとっては、会議時間の削減、業務フローの効率化、IT化による省力化など、従来の「仕事の仕方」を見直すことが、まずやるべきこととなる。

 しかし、「制約社員」が増え続けると、仕事の見直しだけでは追いつかなくなる。朝から晩まで会社にいられる社員に頼る状況は、いずれ行き詰まるだろう。そこで第二に必要なのが、制約社員の労働参加率を高めること。テレワークの導入によって、社員の育児休業からの早期復帰、短時間勤務のフルタイム化、介護離職の防止などを後押しするのだ。