だが、政投銀とて単なる民間プロジェクトの延命に資金拠出などできるはずもない。その正当性を示すためにも、器の刷新が必要なのだ。

「開発が終わった後、機体をどう売っていくか、投資回収をどう進めていくか──。収益の最大化に向けて何が最善策となるのか検討しているところ。そこにはいろいろな選択肢がある」

 小口正範・三菱重工CFOは、航空機事業の再編観測についてこう語るにとどめるが、実際に、資本政策の成就には複数の難題が立ちはだかる。例えば、ボーイング向けの機体製造で培った技術を他のビジネスに流用されることを嫌うボーイングが、航空機事業の再編に難色を示す恐れは否めない。

 今年度中に組織再編を含めた資本増強策を打ち出そうとするなら、残された時間はそう多くない。

 7月5日には、ボーイングがMRJのライバル機を開発するブラジル・エンブラエルと合弁会社の設立に向けて合意したと発表した。

 ボーイングの目的はMRJより一回り大きい100~150席クラスの拡充であり、欧州エアバス同様、リージョナルジェットには興味がないとされる。

 しかし、MRJ事業にとって、経営が不安定になりがちな中小のエアラインが顧客となるリージョナルジェット市場において、持続的に稼ぐための施策とは何なのか。そもそも、ボーイングとエアバスが手を出さない市場に、どれだけうまみがあるのか。

 開発のゴールばかりを強調する三菱重工だが、完成機ビジネスのプロセスではようやくスタート地点に立ったばかりである。最も重要なのは、MRJ事業が安定飛行するための戦略の提示だ。