開発が遅れる国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」
三菱リージョナルジェット(MRJ)は「型式証明」の取得が遅れ、開発費はすでに6000億円に上っているとされる。しかし宮永俊一・三菱重工社長は「MRJは国民の期待を背負っている」として事業継続に腹をくくる Photo:AFP/アフロ

5月8日に発表された三菱重工業の新中期経営計画。会見の場ではさらりと触れられただけだったが、実はここに記されたある2行には、MRJに関する同社の決意が反映されている。MRJについて確実な収益体制の構築を模索する中、三菱重工は戦略を現実路線に切り替えている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)

 それは、三菱重工業が5月8日に発表した新中期経営計画に、ほんの2行で何げなく記されている。

「MRJ70」の開発を本格化し、北米市場へ投入する主力モデルとする──。

 実はこれ、開発が遅れる国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」において、かねて懸案とされてきたある事項に対する三菱重工の強い意志を表している。

 その懸案事項とは、ずばり北米におけるリージョナルジェットの“機体制限”だ。

 北米は、MRJの主力市場だ。何しろ、予備受注を含む受注総数の約8割を北米勢の注文が占める。

 ただ、北米市場はリージョナルジェットに関してちょっと複雑な事情を抱えている。大手航空会社とパイロット組合との労使協定に盛り込まれた「スコープクローズ」なる条項により、一定の座席数や重量を超えるリージョナルジェットは運航が認められない決まりになっているのだ。