ディズニー「トイ・ストーリー・ランド」ウォルトディズニーの強さの秘密は「人」にあります Photo:AP/AFLO

「Made in Japan」が物語るような、製品のみで勝負できる時代は終わり、サービスとアイデアで勝負する企業が勝ち残る時代となりました。今や経営の浮沈を握るのは「人」です。そして、人材という経営資源を最大限に有効活用できるようにすることが人事の役割です。「管理」するための人事から、「勝つ」ための人事へ――。『人事こそ最強の経営戦略』の著者であり人事戦略コンサルティングの第一人者・南和気氏が、人事が経営を変えていった企業を紹介していきます。今回はウォルト・ディズニー・カンパニーを取り上げます。

売上高5兆7000億円、うち75%は北米
さらなる成長が見込まれるディズニー

 ウォルト・ディズニー・カンパニー(以降、ディズニー社)といえば、日本では「ディズニーランド」や「ディズニーシー」を思い浮かべる人も多いでしょう。

 しかし、世界最大のテーマパーク売り上げを誇る東京ディズニーランドは、日本のオリエンタルランドが保有しており、ディズニー社は売り上げの一部をライセンス料として徴収しているにすぎません。

 実際、このテーマパーク事業は、ディズニー社の売り上げの約30%を占める一大事業です。しかし企業全体としては、三大ネットワークの1つである放送局のABCや、スポーツ専門放送局ESPNを傘下に収める「メディア事業」を筆頭に、『スターウォーズ』シリーズの製作で知られるルーカスフィルムを買収したことでも世界を驚かせた「映画製作事業」、そして「関連するグッズ販売事業」を合わせた4つの事業で構成される世界最大のメディア・エンターテインメント総合企業体です。

 1923年の創業以来、90年以上にわたって順調に成長を遂げ、2017年には551億ドル(約5兆7000億円)の売り上げとなり、ダウ工業平均の中でも営業利益率でトップ5に入る、非常に収益性の高い企業です。また、もう1つの特徴として、現在も北米での売り上げが75%以上を占めており、まだまだ世界で成長する余地がある企業でもあります。

ディズニーのCEOは、90年で6人しかいない

 ディズニー社の強さの源泉というと、「ディズニーランドにおけるホスピタリティ」がつい頭に浮かびますが、90年以上にわたって成長を続ける巨大企業の根底にある強さは、「コンテンツ力」です。

 ミッキーマウスに代表される映画のキャラクターたちは、企画段階からスタッフ、そして資金も含めて世界中から集められる英知によって生み出され、超大作(メガコンテンツ)となり、傘下のメディアを通じて世界中に宣伝されます。