関連グッズがあらゆるチャネルを通じて販売されるとともに、映画から派生したテレビ番組が制作され、さらにはテーマパークのアトラクションとして形を変え、再びグッズ販売につながるという「ワンコンテンツ・マルチユース方式」によって、一粒で何度でもおいしいビジネスを展開することができます。これが高い利益率を生み出し、次のコンテンツへと投資されるという、良い循環を生み出しているのです。

 シンプルなことのようですが、このビジネスモデルを世界レベルで展開するのは簡単ではありません。一過性になりがちなコンテンツビジネスは、コンテンツが旬なうちに複数の事業を横断的に機能させることが非常に重要で、大企業になればなるほどそういった組織の壁は高くなり、経営トップの強いリーダーシップがなければ成立しないからです。

 これは驚くべきことですが、ディズニー社のCEOは、90年間の歴史において、たった6人しかいません。

 その中でも、ウォルト・ディズニー氏の兄であるロイ・ディズニー氏は42年間、ディズニーを一時期の危機から救いメディア事業を軌道に乗せたマイケル・アイズナー氏は21年間、現CEOのロバート・アイガー氏は、すでに13年間、CEOを務めています。日本の上場企業の社長の平均任期が「約7年」といわれている中、その違いがよく分かります。

ディズニーを襲った危機を救った
長期的な視点を持つリーダーたち

 コンテンツビジネスの最大の弱点は、「強いコンテンツが生まれないとすべての事業が傾く」ということです。

 偉大なアイデアマンであった創業者のウォルト・ディズニー氏が亡くなった後、1970年代から1980年代にかけて映画事業は低迷し、株式の買い占めによる買収の動きも表面化していました。ディズニーのコンテンツの多くは童話の主人公であり、「古めかしい」というイメージが定着したのです。

 そこで、ABC放送出身のマイケル・アイズナー氏がCEOに着任し、テレビや家庭用ビデオを中心としたメディア事業戦略と、映画事業の立て直しを行います。

 この時期、『プリティ・ウーマン』という大ヒット映画を製作しましたが、この作品は、ディズニーがキャラクターだけに頼らずヒット作を生み出す力を得たことを感じさせます。