銀行は人々から集めた預金を企業などに貸し出し、預金と融資の金利差である利ざやでもうけることをなりわいとしている。しかし、日本銀行によるマイナス金利政策が続き、金融緩和によって以前から続く低金利環境の底が抜けている。企業の設備投資といったニーズは乏しく、利ざやの減少が止まらない。では、その影響を最も受けている銀行はどこなのか。あるいは、厳しい環境下でも磐石な銀行はどこなのか。週刊ダイヤモンド2017年7月22日号「金融庁vs銀行」で掲載したランキングを再掲載する。同ランキングの最新版は、2018年7月28日号の最新号で掲載。乞うご期待!
「一体、いつになったら終わるのか」──。複数の銀行幹部が異口同音に終わりを期待するものがある。日本銀行によるマイナス金利政策だ。
銀行は、顧客であるあなたの預金を企業に貸し出して、預金と融資の金利差である利ざやでもうけることをなりわいとしている。
現在、預金は過去最高の1000兆円を突破する一方、企業の設備投資といった資金ニーズは乏しく、預金は行き場を失っている。
そこにマイナス金利政策が追い打ちをかけ、日銀の金融緩和によって以前から続く低金利環境の底が抜けた。利ざやの減少は止まらず、銀行の収益は右肩下がりだ。
すぐに経営破綻する状況ではないにせよ、銀行はあの手この手で収益の穴埋めを画策。中には、私たち顧客の財布の中身を犠牲にするような金融商品の販売姿勢も散見される。
「強くなければ、顧客に優しくできない」。あるメガバンクの首脳が語るように、貧すれば鈍しやすいというのが世の常だ。
では、この環境下でもあなたに“優しく”できる銀行はどこか。
その糸口をつかむべく、昨年の金融特集(本誌2016年9月3日号「金融エリートの没落」)に続いて「マイナス金利耐久力ランキング」を作成した。
今回も、経費や預金の調達コストといった銀行ビジネスの「原価」(指標(1))を、五つの事業(指標(2)~(6))の収益でどれだけカバーできているかを評価基準にして点数化。それを足し上げて順位付けした。
配点には傾斜をつけ、安定的な収益源となり得る事業への配点を高めに設定。また、安定度が高い順に各事業の収益を足し上げ、どの時点で原価をカバーして黒字転換できているかも測定した。赤字は×、黒字は○で表している(ランキング表の詳細な見方と評価方法は、https://diamond.jp/articles/-/174886をご参照ください)。
利益の3分の2に膨れ上がった
有価証券の含み損
栄えある1位には、2年連続で山口銀行がランクインした。今年も全ての指標で高得点となったことが連覇の要因だ。
昨年と違って、貸出金利息(指標(2))の時点では×が付いた銀行も上位にランクイン。4位の阿波銀行(徳島県)は、昨年より原価を25億円減らしており、利ざやが伸びなくても経費削減により耐久力が上昇した。こうした事例も、最新版のランキングで見てほしい。