ウナギの蒲焼き本当にウナギが食べられなくなる日はやって来るのか? Photo:PIXTA

7月20日は土用の丑の日。ウナギの価格が高騰しているとはいえ、せめてこの日くらいは食べたいと思う人は少なくないだろう。そんなウナギの絶滅が危惧されて久しいが、そもそもウナギはなぜ減少してしまったのだろうか。また現在、どのような対策が取られているのだろうか。漁師の息子として生まれ、築地の卸で働いた経験を持つなど魚の事情に精通している“おさかなコーディネータ”のながさき一生さんに、絶滅が危惧されるウナギが置かれている現状について話を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 林 恭子)

ウナギの生態はまだ不明なことばかり
「減少の原因」も分かっていない状態

――ウナギの一種「ニホンウナギ」が、2014年にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリスト絶滅危惧1B類(近い将来における野生での絶滅の危険性が高い)に指定されるなど、ウナギが将来食べられなくなるのではないかという不安が広がっています。なぜ、ウナギは絶滅危惧種に指定されるほど減少してしまったのでしょうか。

 レッドリストの絶滅危惧1B類に指定されているウナギには、ニホンウナギ以外に「アメリカウナギ」があり、「ヨーロッパウナギ」についてはレッドリスト最上位の絶滅危惧1A類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い)に指定されています。ただしこのICUNのレッドリスト指定は取引を規制するような拘束力はありません。

 ここでは、これらの中でも日本で食されることが多い「ニホンウナギ」のライフサイクルを踏まえたうえで、その現状を説明したいと思います。

「うなぎのライフサイクル」「うなぎのライフサイクル」(水産庁HPより) 拡大画像表示

 まず大人になったニホンウナギは、数年から十数年河川や河口域で生活した後、日本から約2000キロ南に離れたマリアナ諸島付近に下り、産卵します。孵化したニホンウナギの幼生「レプトセファルス」は、海流に乗ってフィリピンや台湾付近を通過し、黒潮に乗って成長しながら日本などの東アジア沿岸へと北上します。そして、「シラスウナギ」に成長し、河川へと入っていって親ウナギへと成長していくというのが一連のライフサイクルです。