今年の夏はいたるところでうなぎが話題にのぼった。6月に国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に『ニホンウナギ』が指定されたからだ。さすがに「もう食べられなくなる」という危機感を抱いた人も多かっただろう。しかし、あいかわらず牛丼チェーンには「うな丼」が並び、スーパーでは蒲焼きが大々的に売りに出されていた。
そうした場所で売られている多くは中国などで養殖飼育された『ヨーロッパウナギ』である。『ヨーロッパウナギ』も数年前にワシントン条約の対象になり、2010年にはIUCNの絶滅危惧種に指定されている。結局、日本人はウナギを絶滅寸前までせっせと食べ尽くしてきたわけだ。
Photo:毎日新聞社/アフロ
そして、今度はマグロだ。日本でも以前からマグロ資源については心配されていたものの、その対策に本格的に取り組んできたわけではなかった。
例えば『92.6%』という数字がある。これは太平洋で漁獲されるクロマグロのうち、ヨコワ(幼魚、関東での呼称はメジマグロ)の占める割合だ。ほとんど稚魚のうちに獲っていることがわかる。味がのるとされる四歳魚以上の割合はわずか1.2%、卵を産む前の子どもの段階で獲りつくしているわけだ。
日本は世界のクロマグロの世界総生産量の8~9割を消費していると言われるので、資源の枯渇は「日本人のせい」ということになる。ちょっと肩身が狭い話だ。
今回、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)で「未成魚(30キロ未満)の漁獲を2015年から半減させること」に合意した。資源回復にむけての第一歩を踏み出した格好である。
ただ、この合意では幼魚を獲ることを控えただけだから「資源量は回復しない」と言われており、産卵場付近で漁がおこなわれていることなど今後の課題も多い。
今回、対象となったのはクロマグロだが、乱獲により絶滅の危機に貧しているのはそれだけではない。絶滅危惧種を記載したIUCNレッドリストにも全部で8種類あるマグロのうち5種が登録されているというから深刻である。マグロ資源の減少はクロマグロやミナミマグロといった高級マグロだけにとどまらず、すべてのマグロ類が乱獲により減少していることが報告されている。