先週の総括
先週の日経平均は前週の米国株式反発を受けて小高く始まった。しかし米国の追加利下げを巡る思惑から為替が110円を割り込む円高方向に振れ、株式市場も下落に転じた。
日経平均は21日に終値ベースで14837円で引け、年初来安値を更新した。業種ではバルチック海運指数が一服した海運業が大幅に下落。一方で円高が好感された紙パルプ、電力ガスなどが確りした展開であった。規模別には大型株が下げ渋ったが、これまで下落率の小さかった新興市場株が下落幅を拡大した。
今週の予報
水産業:魚介類買い付けコスト上昇で「雨」
今週の日経平均は底打ちを探る展開を予想する。日経平均の予想PERは16倍台となり、さすがに割安感が出始めた。テクニカル指標も底を示すものが散見され、円高が一服すれば自立反発に至る公算が大きい。世界各国の金融機関がサブプライム関係の評価損を公表し、悪材料もかなり織り込まれたと判断している。
中間決算発表もヤマ場を越えたが、水産業は業績下方修正を発表した。日本人の水産物摂取量はアイスランドに続く世界第2位。一方で自給率は昭和40年代は100%であったが現在は50%強の水準であり輸入に頼る部分が大きい。
世界的に健康イメージの強い魚肉に対する需要が高まり、国際価格が上昇している。例えばマダラは白身魚を好む欧米中心に需要が拡大しており、1999年から2倍弱に値上がりした。国内需要は1980年代前半の水準にまで低下しているため、原料高・販売価格低迷のダブルパンチをうけ業績は低迷している。すり身販売など水産事業はもちろんのこと、冷凍食品、魚肉ソーセージなど加工食品事業も買い付けコスト上昇による打撃が痛い。
ここ数年業績下方修正が絶えず、投資家の信頼度合いも大幅に低下した。最大手のマルハニチロホールディングスの株価は、2006年6月高値358円をピークに、今年11月には129円と約1/3の水準にまで売りこまれた。下期業績に関しては比較的順調のようだが、在庫水準が高く安心できない状況が続いている。
今回のポイント(まとめ)
マルハは2007年10月にニチロとの経営統合を行った。日本の食品業界は世界と比較して企業規模が小さく、今後も生き残りをかけたM&Aが続くであろう。