返品の苦い経験から
徹底的に防水・防寒を追求

 その流れを変えたのが、16年10月にセーフティグッズのチーフバイヤーとして異動してきた飯田貴浩だ。イージスが発売された当時、飯田は東北でスーパーバイザー(SV)をしていたが、客の反応は厳しかった。「1000円台のものが多いワークマンの商品群の中では高額。それなのに『すき間風が入り、作業には不向きだ』と返品も多かった」。当時の飯田は、この商品の売り方の難しさを現場で感じていた。そんな飯田が、イージスの商品開発を担当することになったのだった。

 当時、イージスシリーズは、「イージスオーシャン」(釣り人向け)と「イージス透湿防水防寒スーツ」の2ライン。後者はバイク乗りの間に口コミで広がり、徐々に人気が出てはいたが、販売点数は2ライン合計で2万点にとどまっていた。作業服は単品で販売点数が10万点を超える商品もざらにあるため、17年の秋冬シーズンに向けて、イージスブランドを続けるか否かの決断を迫られた。

 ここで飯田はSV時代にイージスを大量返品された苦い経験を思い出す。「イージスは『防水・防寒』を究めればもっと売れる。徹底的にこだわって開発し直そう」。そう腹をくくった。

 飯田はあくまでもマイナーチェンジにこだわった。イージスがブランドとして育ちつつあることを実感していたからだ。だが、防水に関しては徹底的にこだわり、コアユーザーを「釣り人」「バイク乗り」と定めて、彼らにとっての使い勝手の良さを追求した。

 まず、飯田が一番の問題点だと思っていたサイズを変えた。服の上から着るレインウエアなのに、デザイン性を重視するあまりタイト過ぎたのだ。「何より僕が着られなかった」と飯田は苦笑する。

 そして、縫い方や布の合わせ方一つ一つにこだわり、用途に合った防水性能を目指した。イージスオーシャンの方は、尻の縫い目をなくした。レインウエアで最もよく傷むのが股上の縫い目部分。よく動かす場所なので、どうしてもここから水が入ってきやすくなる。そのため、尻の縫い目そのものをなくしたのだ。

 バイク乗りを意識した透湿防水防寒スーツの方は、尻の部分に布を足して立体構造にした。ライダーはバイクにまたがるときに尻が突っ張る。立体構造にすることでその突っ張りを軽減させたのだ。