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「電話は75年、ポケモンGOは19日」
このスピードの変化に目を向けよ

――HP.inc シンガポールイベントレポート

大河原克行
【第176回】 2018年8月1日
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「チーフ・ディスラプター」とはどんな役目か

Chief DisruptorでもあるHP inc.HP Tech Ventures グローバルヘッドのAndrew Bolwell氏

 実は、Bolwell氏には、もうひとつ「Chief Disruptor」という肩書きがある。

 個別取材に応じたBolwell氏は、「Chief Disruptorの肩書きを考えたことそのものが、破壊的なことである」と笑いながらも、「HPは、これまでに80年の歴史を持ち、これからも存在していかなくてはならない。そのためには、企業の基本姿勢として、破壊はいつ来るのかということを、常に念頭に置く必要があり、HPは破壊されない存在であることを、Chief Disruptorのゴールにしなくてはならない」とする。

 HP inc.が、もっと多くの企業と会話をし、スタートアップとも協力することも必要だとする。

 そして、「収益性をあげることを考える社員は必要であり、既存事業の成長を考える社員も必要である。それに加えて、ディスラプトを考える社員も必要であり、これからはすべての企業において、その役割を担う複数の人材を置くことが必要になってくるだろう」とする。

 Bolwell氏は、いまから3年前に、Chief Disruptorという肩書きを自らにつけた。ヒューレット・パッカードが、HP inc.と、ヒューレット・パッカードエンタープライズに分離してすぐのことだ。

 その経験からも、いまや、すべての企業において、「Chief Disruptor」と呼ばれる役割を担う人材の必要性を訴える。

 「ディスラプションが進み、変化のスピードが速くなっているのは、多くの企業が感じていることだろう。顧客の体験にフォーカスすること、体験の変化を的確に捉えるためにメガトレンドにフォーカスすること、そして、未来に向けて、何度も変化を繰り返すことが大切である」とする。

 HP.inc Asia Pacific and JapanのBaileyプレジデントは、「既存のビジネスモデルを壊すことは、ビジネスチャンスだと捉えるべきである。都市化や高齢化が進み、仕事も変化している。大手企業だけでなく、中小企業もデジタル化していくべきである。いまは、そうした変化のときにあることを知るべきだ」と語る。

 HP Imagine 2018の基調講演は、具体的な製品やサービスに触れるよりも、メッセージ性の強い内容になった。体験型の時代を、チャンスにすることができる企業こそが生き残れるというメッセージは、Chief Disruptorを擁するHP inc.のこれまでの変革の体験をベースにしたから言えるものだ。そして、それは同時に、これからのHP inc.自身に言い聞かせるためのメッセージであるともいえそうだ。

(取材・文・撮影/大河原克行)

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