病院採用試験の直前対策!

発売たちまち4刷が決まった、元NHKアナウンサーの超人気講師で「ウェブ小論文塾」代表・今道琢也氏の新刊『落とされない小論文』から、「病院採用試験対策」に特化した内容を特別掲載する。(構成:今野良介)

病院採用試験の小論文に
よくある2つの出題傾向

昨今、病院採用試験の多くで小論文が取り入れられ、採点配分が高いケースも少なくありません。

どのように対策すればよいか悩む方も多いのですが、病院採用試験における出題の傾向は、おおよそ、次の2つの方向に絞られています。効率的に事前対策しておきましょう。

(1)医療職として求められる知識や、心構えに関連する問題
・「チーム医療」が求められている背景と、それを踏まえて自分がどのように仕事に当たっていくか?
・「インフォームドコンセント」はなぜ重要か。また、それに関して看護師ができることは、どのようなことか?
・高齢化が進む中で、看護師に求められることとは何か?
・「患者さま中心の医療」を実現するためにどのように取り組んでいくか?
・患者様との信頼関係を築くために取り組みたいこと?
・病院で医療ソーシャルワーカーが果たすべき役割とは?

(2)志望動機等に関わる出題
・あなたはなぜこの病院を志望したのか?
・あなたはなぜ看護師になろうと考えたのか?
・あなたが目指す理想の看護師像とは?
・私がこれまで一番力を入れて取り組んだことと、そこから学んだことは?

*看護師以外の職種の方は、「看護師」の部分を、ご自分の職種に置き換えてください。
看護師試験で絶大な効果がある「2種類の箇条書き」最低限の知識を効率的に身につけよう

小論文試験で高評価を得るためには、こうしたよくある出題例について、自分なりの考えをまとめておく必要があります。

特に、上記のような「チーム医療」「インフォームドコンセント」といったキーワードに関して、「問題の背景・現状」「医療職として取り組むこと」という2点について押さえておくと良いです。

どのような問題であっても、まず「①問題の背景・現状」を分析した上で、「②医療職として取り組むこと」を書くことになるからです。

そこで、本記事では、この代表的な2つの出題テーマについて、頭に入れておくと良い知識を、箇条書きでまとめます。

こんな「箇条書き」を作っておこう

●インフォームドコンセント●
【問題の背景・現状】
・かつては、がん治療において病名すら本人には伝えられないなど、インフォームドコンセントが不十分な部分があった。患者や家族の側にしても「お任せします」というような姿勢で医療を受けるような風潮があった
・しかし、手術にせよ投薬にせよ、医療行為は副作用などのリスクを必ず伴うものであり、これらを理解した上で、患者自身が治療法を選択すべきという考え方が一般的になった
・一方、患者側にも、これらを知る権利があるという考え方が広がってきた
・患者は、病状や医療行為について十分に説明を受けて理解することが必要であり、医療関係者は、そのための手助けをしていかなければならない

【取り組むべきことの例(看護師)】
・看護師は患者の一番身近にいる存在。患者に寄り添って不安点や疑問点を解決していく。また、医師と患者をつなぐ役割を果たすべき
・患者が説明の内容を理解できているか、表情や声の調子などから注意深く観察する
・患者が理解できていない医学用語などをわかりやすい言葉で説明したり、必要に応じて医師に伝えたりするべき
・病名の告知等によって精神的なショックを受けている場合の心理的な支援や、不安の傾聴
・手術などに限らず、日常の治療、投薬等についても、医療関係者はその効果や副作用を十分に患者に説明し、話し合う


●チーム医療●
【問題の背景・現状】
・チーム医療とは、医師、看護師、理学療法士、薬剤師など医療に関わるスタッフがそれぞれの専門家として業務を分担しながらも、1つのチームとしてコミュニケーションを取り合い、最適な医療を提供していくこと。患者はチームの主役として捉えられる
・かつては、医師を頂点にして医療スタッフはその指示に従うという図式が見られたが、このような概念が希薄であった
・医療が高度化、複雑化していく中で、医療スタッフ間の連携が取れず、分業のような形で患者さんに接してしまう面もあった
・チーム医療はそうした壁を取り払い、それぞれの医療スタッフが専門家として対等な立場で意見を出し合い、より良い医療の提供を目指していくもの

【取り組むことの例(看護師)】
・看護師は患者さんの体調を一番よく把握しており、心理的にも一番近い存在。その立場から、患者さんの状況や思いをチームに伝えること。患者さんについて気づいた点、気になる点を他のスタッフと共有したり、報告したりすること
・そのために日常から患者さんはもちろん、他の医療スタッフと積極的なコミュニケーションをとること
・カンファレンスでそれぞれのスタッフが専門家として積極的に発言していくこと
・院内勉強会、研修、学会への参加などにより、最新の知識、看護技術の習得に努め、自らの専門性を常に高めていくこと

 

こうした情報の整理をテーマごとにやっておくと、効率的に合格答案を書けるようになります。

『落とされない小論文』では、この2つ以外の病院採用試験対策の必須知識に加え、公務員試験、教員採用試験、大学入試など、試験別にまとめた「超頻出テーマ瞬速理解表」を掲載しています。各試験の頻出テーマを厳選したうえで、各テーマの背景、原因、課題、今後の対策までを「箇条書き」で整理しました。効率的に、多くの出題に対処することができる資料です。

そのほか、小論文試験に一発合格する必要最低限の情報を凝縮して伝えています。

ぜひ、直前対策に使い倒してください。

※参考記事
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