これから始まる大学受験・公務員試験の受験者必読!
「どうやって評価が決まるのか?」
「自分の書いた答案は、どこが悪いのか?」
「どうすれば、合格答案が書けるようになるのか?」
本連載では、2月7日発売の新刊『落とされない小論文』の著者が、これらの疑問に明確な結論を出します。本番直前からでも、独力で合格水準まで到達するスキルと考え方をお伝えしていきます。
今回は、基本的な小論文執筆のルールをお伝えします。(構成:今野良介)
「作文」と「小論文」はどう違うか?
小論文の書き方を学ぶ人から、「小論文は、作文と何が違うのですか?」という質問を受けることがあります。作文とは「文を作る」ですから、自由な発想で好きなように書いてよい文章です。一方、小論文とは「論じること」が目的です。何らかの問題提起や主張をして、自分の考えを筋道立てて説明することが求められる文章です。
たとえば、「山」というテーマで作文と小論文の違いを見てみます。
【作文】
私は登山が大好きだ。どんなに嫌なことがあっても、山に登ると無心になれる。街の喧騒を離れ、大自然の中を歩いていると、不思議に気持ちが落ち着いてくる。日常の雑事や煩わしい人間関係を忘れ去ることができる。また、山に登る人たちの間には一種の連帯感がある。すれ違えば道を譲り合うし、「こんにちは」「頂上までもう少しですよ」と言葉を掛け合う。都会では隣人の顔も知らないのが普通だが、山ではすれ違うだけの人とでもささやかな交流がある。私には、それがとても心地よい。
【小論文】
近年、中高年の間で山歩きがブームとなり、登山コースでは、高齢者も含めた多くの人で賑わうようになった。一方で、山の厳しさを十分に知らないまま安易な計画や装備で登山に臨み、遭難するケースが相次いでいる。登山者に対する十分な注意喚起が急務だ。そのために、まずはツアーを組む旅行代理店が、参加者に対して必要な装備、服装などについて十分に説明しておくべきだ。また、環境省・自治体などが各登山コースの難易度、所要時間などについて情報を登山者に提供し、自分に合ったコースを選ぶよう呼びかける必要がある。
作文は、主張がなくても、自分の思いを連ねて書けばよい文章です。
しかし、小論文は主張したいことが明確になっていなければなりません。
ここが大きな違いです。
ただし、小規模な自治体の公務員試験などで時折見られるケースとして、「作文試験」と銘打っておきながら、問題文が「循環型社会をどのように実現していくべきか述べなさい」となっているなど、実際は明らかに「論文」を求めていることがあります。そういう場合は、「作文試験」となっていても、中身は「論文」で書かなければなりません。