コンプラ徹底の背景には、今春、神奈川県と茨城県で郵便局幹部とダイレクトメール(DM)会社幹部が贈収賄容疑で逮捕された事件もある。局幹部がDM発送料金を安くする見返りに接待を受けていたのだ。こうした事件もあり、日本郵便は郵便局を舞台にした不正の再発防止に本腰を入れた。

 同社のある幹部は「ゆうパックが伸びている。いい機会だから膿を出す」と強調する。宅配便最大手のヤマト運輸が値上げと物量規制をした影響で、日本郵便の宅配便「ゆうパック」が受注を増やしており、多い月では対前年比30%増。宅配便で万年3位だった日本郵便が、“棚ぼた”ではあるが巻き返しを図れるこの機会に、ニーズがない商品に対するむちゃな営業方針を改めようというのだ。

 さらに従来、郵便局長は郵便部門のたたき上げが多かったのに対して、最近はゆうちょ銀行やかんぽ生命保険出身者の局長登用が増えているのも要因だとする指摘も。金融畑出身の局長は郵便商品に対する興味が薄いので、必然的に部下もやる気をなくすというのだ。

 加えて、壁に個人別の成績グラフを張って無謀なノルマを押し付けるやり方は、今の時代、ハラスメントに発展する可能性もある。ただ、目標がないと「売れるものも売れなくなる」(別の関係者)。かもめーるは“真面目”に売れば約150億円の売り上げが確保できる。郵便関係者の間では、もし現在の体たらくが続けば、年賀状販売にも影響し、業績悪化は計り知れないと危惧する声もある。

郵便局の結束力は西高東低!?

 とはいえ夏は乗り切れそうだ。実は、かもめーるの販売数は全国で見ると、かなりばらつきがある。関東支社は70%だが、近畿支社は前年実績を超えるなど、ざっくり言えば達成度は“西高東低”だ。

 濃淡はどうして出るのか。それは伝統的に近畿や九州の方が「郵便局と周辺関係者の結束力が強い」(西日本の同社幹部)。例えば関西の郵便局では地元警察と連携し、振り込め詐欺の注意喚起を促すDMにかもめーるを活用して地域の高齢者に送っている。この場合、はがきを買うのは地元のロータリークラブなどで、クラブは地域貢献として警察から表彰されるメリットがあるという仕組みだ。このように西日本には懇意にしている相手に郵便商品を買ってもらう文化が、まだ根強いのだという。

 心配なのは本丸の年賀状。これは日本郵便が社運を懸けて守り抜きたい「聖域」の商品である。何しろ元日から10日程度で約25億通分、1300億円規模を売り上げ、しかも一つの宛先に数十枚単位、企業などの大口は数百、数千枚単位で配達するので効率がいい。年末から仕分けのアルバイトを投入しても、費用を大きく上回る利益を生み出すドル箱なのである。

 年賀状離れでその枚数は毎年1億枚ずつ減り、18年は25億枚にまで沈んでいる。しかし19年の年賀状には希望の光が差している。「平成最後」の年賀状になることや、お年玉くじの賞品に東京五輪への招待券が登場するため、「出す人が増えるかもしれない」(関係者)。例年8月末に年賀状の当初発行枚数が発表される。全国の郵便関係者は期待と不安を抱き、固唾をのんで見守っている。