限られた通勤時間帯の乗車スペースを効率的に配分するためには、価格メカニズムの活用が有効だ。あえて通勤ラッシュのピーク時に乗りたい乗客には、割増料金を負担してもらう必要がある。他方で、通勤時間を前後にずらせられる乗客には料金を割り引くという利益を与える。これは、いわば鉄道会社を通じて、通勤時間帯に乗車する権利を、乗客間で売買する取引と同じことになる。

時間帯別の乗客数時間帯別の乗客数

 ピーク時とそれ以外の時間に差をつける二部料金制は、ワシントンDCの地下鉄や首都高速でも行われている。しかし、小さな料金差のために、1時間も待つ乗客はいない。ここでの混雑料金は、例えば図のように10分ごとの細かい単位で変えることで、前後の時間帯に乗客を少しずつ誘導し、ピーク時の混雑水準を低める仕組みである。現在の東京圏のように、大部分の乗客が定期やプリペイドカードを利用している場合には、自動改札機で時間帯や方向別に料金を調整することは技術的に可能であろう。

企業がコスト負担する通勤代だからこそ、
「混雑料金」は働き方改革の後押しにもなる

 混雑料金への大きな障害は、「混んでいる時間帯に高い料金を払わされることは納得できない」という感情論である。しかし、混雑でサービスの質が低下したとして値下げすれば、ますます混雑は激化する。通勤需要が供給を超過しているからこそ、料金の引き上げが必要になるのだ。