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八代尚宏
高市早苗首相が所信表明で掲げた給付付き税額控除は、中低所得層の手取りを増やし、税と社会保障を一体で見直すための重要な改革である。ところが、国民会議での結論は税額控除を棚上げし、「給付に一本化」となった。本来の制度趣旨を失わせないために何が必要なのか。

「移民が増えると治安が悪化」「外国人は医療保険ただ乗りで優遇」をデータ検証、判明した意外な事実とは
移民政策をめぐる議論は、治安の悪化や財政負担への懸念と、経済成長への期待のあいだで揺れている。しかし、これらの主張は必ずしも同じ前提に立っているわけではない。外国人労働者の受け入れが日本社会に与える影響を、データと制度の観点から整理する。※本稿は、経済学者の八代尚宏『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(日本法令)の一部を抜粋・編集したものです。

新たな独身税?少子化対策になる?「子ども保険」構想の是非を経済学者が解説
現行の少子化対策は、子育て世帯への給付拡充に重点が置かれている。しかし、それだけでは出生減の流れは変わらない。筆者が提唱する、子育て環境の充実まで実現可能な「子ども保険」構想の中身とは?※本稿は、経済学者の八代尚宏『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(日本法令)の一部を抜粋・編集したものです。

なぜダラダラ働くほうが得なのか?働き方改革が進んでも、長時間労働が変わらないワケ
働き方改革によって、労働時間は短くなった。しかし現実には、稼ぐためにもっと働きたいと願う人は少なくないし、企業も長時間労働をする人材に高い報酬を支払っている。賃金を上げつつ労働時間を短くするために、日本政府ができる施策とは?※本稿は、経済学者の八代尚宏『「政府の失敗」の克服―規制改革をどう進めるか』(日本法令)の一部を抜粋・編集したものです。

自民党と日本維新の会が、第3号被保険者制度の見直しに向けて動き出した。共働き世帯が主流となる中、単身者や共働き世帯との不公平の是正は避けて通れない。ただ、問われるのは「対象を狭める」という方向性の中身だ。制度自体をどう扱うのか、就業調整をどう防ぐのか。主婦年金改革の核心を考える。

政府は4月3日、コメの「需要に応じた生産」を明記した食糧法改正案を閣議決定した。表向きは安定供給のための制度見直しだが、実際には米価を高めに維持するための生産抑制に逆戻りする懸念も消えない。まだ、コメ政策には食料安全保障の視点も欠かせない。コメ不足と価格高騰を招いた政策の何が問題だったのか。あるべきコメ政策を改めて問う。

高市早苗首相は「責任ある積極財政」と強い外交安保を掲げ、サッチャーのような改革者を自任する。だが衆院で3分の2の絶対多数を得た今こそ、族議員が力を増しやすい。17分野の成長戦略で政府主導が過ぎれば市場原理を損ねる。市場原理を尊重しつつ投資を進め、農業、医療など既得権がはびこる分野の改革を進めることが日本経済再生への道である。

高市早苗首相は1月23日の衆院解散と総選挙を表明し、政策転換と連立再編の是非を国民に問う構えだ。所得税の壁引き上げや食料品の消費税2年ゼロなど減税公約の財源を、赤字国債に頼らず歳出削減で本当に捻出できるのか。加えて、給付付き税額控除、労働・外国人制度、少子化や農政まで、制度横断改革を争点とすべきだろう。

自民・維新・国民民主・公明の4党合意に基づき、所得税の非課税枠の上限を160万円から178万円へ引き上げる方針が税制改正大綱に盛り込まれた。だが目的を「物価対策」とするなら、インフレ下の減税はむしろ物価を押し上げかねず、恩恵も中間層に偏る。矛盾を解消し、低所得層に重点を置いた減税策の給付付き税額控除の具体像を示す。

高市政権が掲げる「労働時間規制の見直し」は公平な働き方の観点からも検討すべきである。労働者が自らの意思で働き方を選べる「選択的自由」を重視した制度設計こそが真の働き方改革である。欧米の制度との比較から、今後の政策設計の方向性を探る。

与野党で導入機運が高まる給付付き税額控除(負の所得税)は、最低所得を実質的に保障しつつ就労インセンティブを損なわない“自動安定化装置”だ。基礎控除拡充などの一律減税よりも低所得層に資する再分配を実現し、行政のデジタル化とも親和性が高い。日本版の設計案と導入課題を具体的に検証する。

国民年金の財政基盤は脆弱(ぜいじゃく)である。納付率の改善が報じられるが、その内実は免除者の急増による「見かけ上の納付率」に過ぎない。基礎年金の全額国庫負担、すなわち税方式による抜本的な改革の必要性が高まっている。

2024年の人口動態統計で、日本人の出生数がついに70万人を下回った。合計特殊出生率も大きく低下し、少子化が加速している。これは年金制度の持続性にも重大な影響を及ぼし、「百年安心年金」の前提を根底から揺るがす。年金制度全体の見直しと、共働き前提の社会制度改革が急務である。

政府は2024年度年金財政検証を基に年金制度改革法案を国会に提出する予定だ。被用者保険の適用拡大などが盛り込まれているが、いずれも制度の根幹に踏み込む抜本的改革には至っていない。少子高齢化の進行が続く中、支給開始年齢や給付水準、さらには制度の財源構造そのものを再設計する必要性が高まっている。

社会保障審議会年金部会は、第3号被保険者制度の廃止を年金法改正案に盛り込まないことを決定した。サラリーマンの配偶者が保険料の負担なくして基礎年金を受けとることができるこの制度は、不公平で、かつ就業抑制の原因となり、廃止すべきである。しかし、廃止どころか制度を存続させることによるツケを企業に負わせることが検討されている。

岸田内閣は人へ投資の一環としてリスキリングに5年で1兆円の資金を投じる。しかし、現在予定されている方策では生産性向上や賃上げを実現するのは困難だろう。成果を上げるために政府がなすべき4つの施策を提案する。

週休3日制導入を表明する企業が現れ始めた。導入時に重要になってくるのが働き方を含めた人事管理である。これまでのあり方を大きく変える導火線となる公算は大きい。

与党から中高所得層の年金受給者を対象にした5000円の一律給付案が出ている。選挙目当てのバラマキ政策であることは一目瞭然。かつ、高齢者を愚弄するものであると言わざるを得ない。

岸田政権は「中間層を手厚く」することを目標に掲げる。そのために、官が民に介入する施策を打ち出している。しかし、官の民への介入は失敗の歴史だ。むしろ、岸田政権が転換を主張する「新自由主義」において進められた規制改革こそが重要である。規制改革によって経済成長を高めることが、中間層を厚くするための取るべき施策である。

自民党総裁選への立候補者の間での政策議論が乏しい。新首相ともなる新総裁は、今後の日本の針路を示すべきである。安倍長期政権が手を付けなかった供給面の構造改革や、医療・年金などの社会保障改革、財政健全化など痛みを伴う施策から目を背けてはいけない。
