2019.11.6 男性国家公務員の育休促進策が「絵に描いた餅」になりそうな理由 政府は、男性の国家公務員について、原則1ヵ月以上の育児休業取得を促すための具体策をまとめ、2020年度からの実施を目指すとした。国家公務員なら、育休取得率を引き上げられるのか。また公務員で目標が達成できれば、民間企業でも実現可能なのか…
2019.10.9 男性の育休取得、義務化の前にやるべき規制緩和の中身 小泉進次郎環境大臣の「育休宣言」が大きな話題を呼んでいる。日本の男性の育休取得率は2018年でも6%にすぎず、女性の82%とは大きな格差が生じている。この解決のために義務化も検討されているが、それ以前に取り組むべきことがある。
2019.8.30 「若者は68歳まで働け」年金財政検証が示した支給開始年齢の問題点 厚生労働省は8月27日に5年に1度の公的年金の財政検証を公表した。今回、注目すべき点は、現状の年金給付水準を維持するためには、例えば、現在20歳の人は68歳9ヵ月まで働かなければならないという明確な選択肢を示したことである。
2019.7.19 派遣賃金「勤続3年で3割増」がむしろ労働市場改革に逆行する理由 厚労省が、派遣社員に対して勤務年数に応じた賃金を支払うよう派遣会社に義務づけることが報じられた。これは正社員との賃金差を縮小させる措置とされているが、欧米の「同一労働同一賃金」とは正反対で、本来の労働市場改革に逆行している。
2019.6.13 「老後2000万円」金融庁報告書の正しい読み方 金融庁が6月初めに公表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書が、国会で大きな焦点となっている。今回の大々的な批判をきっかけに、公的年金制度の持続性を野党が参院選の争点とすれば、国民的な議論を巻き起こす点でむしろ望ましい。
2019.5.24 日本の副業とテレワーク普及を妨げる「犯人」の正体 人手不足が深刻な問題となる中、既存の労働者の有効な活用を図るためのカギが、「副業」と「テレワーク」のような柔軟な働き方である。政府は推進を測るための目標を掲げているものの、いずれも十分な成果を上げていないのが現状だ。
2019.4.23 新卒一括採用の見直しだけでは年功序列の日本型雇用が変わらない理由 経団連は22日、新卒学生の通年採用を拡大することで大学側と合意した。多様な採用方式が普遍的になれば、外国人留学生や留学中の日本人学生などへのメリットは大きい。しかし、それだけで年功序列の日本型雇用慣行が大きく変わるとは言えない。
2019.2.6 「100年安心年金」を机上の空論からホンモノにするための手立て 今夏、5年に1回の公的年金の財政検証が行われる。急速な少子高齢化の進行の下で、年金財政の持続性を確保するための仕組みだ。しかし、今の年金財政の枠組みは机上の空論に近い。国が唱える「100年安心年金」を実現するために、真に必要な視点とは…
2018.11.8 新在留資格への誤解、必ずしも「単純労働受け入れ」ではない 政府は外国人労働者の受け入れ拡大のための出入国管理法の改正案を国会に提出した。今回の新在留資格について、「単純労働を容認した」という報道が相次いでいるが、この表現は必ずしも妥当ではない。
2018.10.25 政府の「70歳まで雇用シナリオ」では高齢者も企業も幸せになれない 政府は10月22日の未来投資会議で、「70歳までの就業機会確保」のための雇用改革案を打ち出した。働く高齢者の増加は人手不足や年金制度の安定化に不可欠だが、その手段として規制改革ではなく、規制強化を用いている点に大きな問題がある。
2018.9.21 安倍3選後が年金改革「最後のチャンス」、日本の対応は遅すぎる 安倍晋三総理が自民党の総裁選挙に勝利し、2021年まで現政権を維持することが可能となった。今後3年間の経済政策の最大の課題は、増え続ける借金に依存した社会保障、その中でも最大の支出である「公的年金制度の改革」である。
2018.9.7 就活ルール廃止、外資との人材獲得競争ではない「本当の意図」 経団連の中西会長が、現行の就活に関する「経団連ルール」を、2020年度以降について廃止を示唆したことが大きな反響を呼んだ。これを単に、日本の大企業が外資系企業に優秀な人材を奪われないためとの解釈は、本来の意図を矮小化している。
2018.8.8 満員電車に“時差Biz”は焼け石に水、「混雑料金」導入で解消を 7月9日から東京都主導で主要企業が通勤時間をずらす「時差Biz」が実施されている。鉄道会社側でも早朝時間帯に臨時特急列車を運行させる等支援しており、主要駅の朝ラッシュピーク時に利用客が平均2.3%減少したそうだが、焼け石に水である。
2018.7.6 非正規・正規の格差是正が葬られた働き方改革法案の問題点 政府の働き方改革法案が国会で成立した。しかし、残業時間の上限規制や高度プロフェッショナル制度の導入に比べて、より本質的な改革である「同一労働同一賃金」については、ほとんど議論がされなかったのも事実だ。
2018.6.5 定年後再雇用の賃金引き下げは社会の不利益、最高裁判決から考える 非正規社員が不当な賃金格差を訴えた2つの事件についての最高裁判所の判決が6月1日に示された。ここでは政府の働き方改革法案の柱の1つとして議論されている「同一労働同一賃金」の具体的な問題点が顕著に示されている。
2018.3.6 「残業代至上主義」と決別しなければ働き方改革は前進しない 政府が平成30年国会の最重点項目とした「働き方改革法案」の1つの柱となる裁量労働制の改革が取り下げられた。これを受けて、この延長線上といわれる「高度プロフェッショナル制度」についても、その撤回を求める声が高まっている。
2018.1.24 安倍総理の賃上げ3%要請が「働き方改革」に矛盾する理由 安倍総理は、企業収益の拡大を労働者の処遇改善に結び付けるため、経済団体に対して春闘の賃上げ率3%を「社会的要請」として求めた。これは昨年の2%強の水準を大きく上回るもので、これを実現した企業には大幅な法人税減税というアメまで用意され…
2017.10.4 保育を福祉からサービスに転換しないと待機児童問題は解決しない 安倍晋三総理は2020年度末までに保育所に入れない待機児童の解消を目指す「子育て安心プラン」を打ち出した。しかし、旧態依然の児童福祉制度を「健全な保育サービス市場」に改革し、待機児童問題に終止符を打つとともに、付加価値の高い保育サービ…
2017.7.19 「脱時間給」の連合提案は“カネより健康”重視の建設的内容だ 政府が「働き方改革」のひとつの柱として2015年4月に国会に提出した、労働時間の長さでなく仕事の成果にもとづき賃金を払う「脱時間給」制度の法案は、野党の強い反対で、2年以上も店ざらしの状態になっている。この法案が秋の臨時国会でようやく成…
2017.3.1 ブラック企業の労基法違反摘発を「民間委託」すべき理由 過労死等の事故が増え、政府の「働き方改革」でも法律で定められた上限を超えた長時間残業を罰則付きで規制することで合意されている。労働法違反の摘発を進めるためには、一般企業への定期監督等の業務の一部を民間事業者に委託することで、悪質な…