今年度から来年度にかけて、小さいながら、新たな直通運転が千代田線と丸ノ内線でスタートする。利便性は確実に増すが、一方で「始発駅が変わる」点では悲喜こもごも。直通運転を巡るメリット、デメリットをご紹介する。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
たった1駅分でも近隣は大騒ぎ!
千代田線、丸ノ内線の直通運転
最近、鉄道のキーワードの1つとなっている「直通運転」。今年度から来年度にかけて、規模は小さいながらも新しい「直通運転」が始まろうとしているのをご存じだろうか。東京メトロの地下鉄千代田線と地下鉄丸ノ内線だ。
千代田線は既に綾瀬駅からJR常磐線、代々木上原駅から小田急小田原線と、それぞれ直通運転を行っているが、今年度末に新しく直通が始まるのは、たったの1駅1区間。綾瀬駅から北綾瀬駅の2.1kmである。現在は3両編成の電車が往復している区間に、本線から10両編成の電車が乗り入れるのだ。
既にホーム延長部分はほぼ形になり始めており、しょうぶ沼公園の横に新しい改札口の設置工事が進められている。
丸ノ内線も同様に、3両編成の電車が折り返し運転をしている中野坂上駅―方南町駅間に、本線の6両編成の電車が乗り入れるようになる。今も朝と深夜の時間帯には、入出庫を兼ねた中野富士見町駅発着の列車が運行しているが、全ての時間帯で、もう一駅先の方南町駅まで、6両編成の電車が入ってくることになる。
方南町駅ではいよいよこれから、ホームの延伸工事に着手する。ホームを片側ずつ封鎖して工事を行うために、5月26日には中野坂上駅―方南町駅間の運転時刻変更と運転本数を削減するダイヤ改定が行われた。直通運転は2019年度末に開始される予定だ。
どちらも新しく乗り入れるのはわずか1駅分。しかし、これまで途中駅で混雑した本線の列車に乗り換えなければならなかったのが、始発駅になると座って都心まで行けるようになるわけで、このメリットは大きい。
北綾瀬では大和地所レジデンスのマンションが完売したほか、総合地所やタカラレーベンなどもマンションを販売中。足立区も昨年末から、「北綾瀬駅周辺地区まちづくり勉強会」を開催するなど、行政も活発に動いている。始発駅になったり、始発駅ではなくなったりという変化は、街にも大きなインパクトを与えるのだ。