「じゃあ、旅行できないということですね?」
「そうは言ってない。例えば出発日を1日ずらして火曜日から2泊3日にしたらどうだ?」
「妻の休みが水曜日までしか取れなかったんです」
「そうか……、じゃあ1泊2日にするとかはどうなんだ?」
「移動だけで丸1日かかります。1泊2日では往復して終わりですよ」
「他の時季はどうなんだ?」
「妻の仕事が忙しいので、この日程を外すと2人合わせての休みが取れません」

 A社長は最後に言った。

「君の他に月曜日が有給の社員が5名いるが、皆変更を了承してくれた。大掃除の参加は業務命令だと思ってくれ」

旅行中止の話をしたら
大きなショックを受けた妻

 Bは、悲痛な面持ちで家に帰ると、先に帰宅していた妻に切り出した。

「来週の月曜日なんだけど、社長が急に『事務所の大掃除をするから全員出勤しろ!』だそうだ」
「えっ?」と妻はびっくりして、聞き返した。
「でも、私たち、月曜日からディズニーリゾートに行くんだよね?」
「社長にはそう話したけど、最後には『業務命令だ!』って押し切られた。だから今回の旅行は中止だ。本当にごめんね」

 こう言うと、妻の表情がみるみる青ざめていった。

「ヒドイ!信じられない!ミッキーに会えないなんて!すごく楽しみにしていたのに……」

 妻はヘナヘナと床に座り込み泣き崩れた。結局その日はショックのため眠れずに過ごし、時々シクシク泣いているようだった。激務の妻がこの休みを取るのにどれだけ苦労したかを知っていたBは、A社長に対して怒りがふつふつと湧いてきた。翌日、BはA社長に訴えた。

「これから旅行をキャンセルするので、キャンセル代金20万円は会社が払ってください」

 さらにBは続けた。

「それから、社長から妻に直接謝罪してください。妻に旅行中止の話をしたら、ショックで一晩中泣いていました。これでは妻のメンタルが心配です」
「えっ???ちょっと待ってくれ」