上司と若手のコミュニケーション不全が増えている。状況を打開するため、上司が飲み会に誘っても断られることも多く、飲みニケーションは昔と比べて減っている。とはいえ、部下もみんな避ける方向ではなく、飲みに行きたい人もいないわけではない。そこで今回は、人当たりのいい若手が上司との飲み会に何度も参加するが、後日、総務課からの問い合わせで、実は残業代目当てであった事例を紹介したい。(社会保険労務士 木村政美)
国内では中規模のハウスメーカー。従業員数は全社で約1000名。今回舞台となる乙支店の従業員数は40名。管轄地域エリアの営業を担っている。
<登場人物>
A:乙支店営業課長。40歳。全店トップクラスの営業成績とリーダー向けの性格を買われ て5年前から現職。酒はめっぽう強い。
B:中途採用した新入社員。25歳。明朗で人当たりの良い性格。酒席のつきあいが良いのだが……。
C:支店長。45歳。
D:Aの大学時代の同僚で社労士。
A課長は大学時代にラグビー部で活躍し、ガッシリとした体形と人懐っこい性格、豪快な雰囲気を持つ男である。切れ者というわけではないが、営業の仕事が合っていたせいで水を得た魚のように邁進し、同期中トップで昇進した。Aの部下は現在約30名おり、そのうち半数は20代の若い社員である。
ある時、A課長はC支店長に呼ばれた。
「今回、ウチの営業課が「全社業績UPコンクール」の候補になった。これは名誉なことだから、さらに成約件数UPに向けて頑張ってくれ。若手社員もたくさんいるから、ガンガンいかせてくれよ。期待しているぞ!」