リユース活動で「エコロジーな会社」に!
しかし、逆に私はこの「瓶入り」というところに光るものを感じたのです。瓶なら回収してリユースできます。そこをアピールしていけば「エコロジーな会社」という印象を消費者に与えることができます。今の時代、エコであることは商品購入の大きな動機にもなります。
さらに、高圧殺菌処理を行っているということは、化学添加物を使用していないということです。安心安全な商品ということで、やはり強みと捉えることができます。
つまりこの会社は、従業員も機械も古く、時代に取り残された食品工場だと思っていたものが、じつは「創業以来の伝統を守り、熟練のスタッフが真心を込めて安心と安全にこだわったソース作りを続ける、環境にも優しい会社」だったのです。これが消費者の心をつかまないわけがありません。
同社ではすぐに瓶の回収を開始しました。そしてこのリユース活動をきっかけに、自社の強みを自覚し、「小さな食品メーカーだからこそできることがあるはずだ」として、さまざまな取り組みを始めたのです。
自ら、お客様の好みに応じて作成するオーダーメイドソースなど、次々とアイデアをひねり出し、展開していきました。
売上が伸びない場合、往々にして新たな商品の投入という発想になりがちですが、「売り」となる部分を見極めず展開を図るのは負担が大きすぎますし、短絡的ではないでしょうか。
一時的に売上は回復するかもしれませんが、単なる目新しさだけでは長続きはしないものです。
まずは、今ある商品、サービスに目を向け、その「弱み」に前向きな気持ちで向き合ってみることをおすすめします。何かしらのヒントがきっと隠されているはずです。