静岡県富士市にある小さな企業相談所が、いま日本中の中小企業から注目を集めています。「富士市産業支援センター(通称f-Biz/エフビズ)」の支援を受けた多くの会社が、次々と新たな商品やサービスを開発し、目覚ましい成功を収めているのです。経営不振の町工場から、ほとんど仕事のない個人事業主まで、見事に蘇っていくのです。
その秘密は、f-Bizセンター長・小出宗昭さんの独自の戦略にあります。その戦略とは何か?このたび、ダイヤモンド社から『御社の「売り」を見つけなさい!』を上梓した小出さんが、豊富な実例を示しながら、企業再生のポイントをわかりやすく解説していきます。

ニッチ市場でのオンリーワンを目指せ

 これまで多くの企業、起業家の方々の相談にあたってきて、成功する人や組織には3つの共通点があることがわかりました。

 それはまず、「オンリーワンである」こと。それから「継続する情熱がある」こと。そして「行動力がある」ということです。

 これらはどれかひとつ欠けても上手くいきません。とりわけ、推進力の源とも言える「オンリーワン」を見つけることができなければ、情熱や行動力も乏しいものになりかねません。

 まずはオンリーワンを見つけること。強みや売り、個性といったキラリと光る部分を発見することが出発点なのです。

 ここで私が想定するオンリーワンとは、「業界初」「世界初」といった特別にレベルの高いものではありません。「特徴がある」「ありそうでなかった付加価値」というぐらいのものでもいいのです。

 その業界におけるある分野での、いわば「ニッチなるオンリーワン」も立派なオンリーワンです。

 この要素を持つビジネスは、一般に知られるスピードが速く、メディアの対応も違ってきます。
「オンリーワン戦略」そのものは特に目新しい戦略ではありません。以前から言われていることです。しかし私がその威力を身をもって体験し、ゆるぎない確信を持てるようになったのは、じつは、2003年に「スポーツ弁当」のプロジェクトで成果を上げてからのことでした。