「TPP反対」と共通
誤解と早合点の主張

 では、なぜ一部の人が反対するのか。

 しかも、種子法の廃止だけを強調し、同じ内容の各地方自治体の条例が同時に制定されていることを言わないのは、バランスを欠いていると言わざるを得ない。

 実は、そうした人たちは、TPPの時も日本の農業は外資にやられると猛反対してきた。

 しかし、TPPからアメリカが抜けて、TPPは日本主導になり、もはや外資を心配する状況は少なくなっている。

 そもそも貿易自由化は、それぞれの国でメリットとデメリットがあるが、総体としてみればメリットがデメリットを上回ることが経済学の知見から知られている(2015年10月8日付本コラム「TPPのメリットとデメリットをあらためて整理する」 )。

 TPP反対論者にとっては、日本主導のTPPになり始め、日本には自由貿易のメリットが大きいことが明らかになり、しかもアメリカの不参加で見通しが外れた。「反対」する説得力を失い、メンツが丸潰れだ。

 そこに、種子法が廃止になったので、中身は不勉強のまま早合点し、「遺伝子食品が入る、外資が農業を乗っ取る」とTPPの時とまったく同じ主張をしている状況だ。

 これまで書いたように、それは単なる誤解だ。事情をよく知っている農協などの農業関係者は種子法廃止を冷静に見ている。

(嘉悦大学教授 高橋洋一)