鉄道好きの女子「鉄子」、そして子育ての傍ら、しっかり鉄道趣味を謳歌する「ママ鉄」など、今や“鉄”であることを高らかに宣言し、楽しんでいる女性は少なくない。
そして今、鉄子に続けとばかり、飛行機好き・航空好きの女性たちががぜん増えているというのだ。特に、日本の空の玄関・成田国際空港には、飛行機の撮影目当ての女性たちが多く押し寄せているという。その名も「空美(そらみ)ちゃん」―――。
彼女たちはとてもアクティブだ。近くのホテルに陣取り、滑走路を見降ろす客室で、思う存分写真を撮影する。さらにはバスで移動して、別の滑走路が一望できる、とっておきのスポットからファインダーを覗くのだ。
これらはホテル側が企画した宿泊プランで、互いに写真を見せ合ったり、親睦を深めるファンも多いという。また北海道や関西からもファンが集まるなど、層の厚さを物語っている。また、成田空港のお膝元・成田市では、官民が一体となり、地元の有志が集まって発足した「成田空援隊」がホテルや航空写真教室を主催するカメラメーカーなどと手を組み、「空美ちゃん」イベントに注力している。
女性たちが飛行機や航空に興味を抱くようになったのは、やはり日本人がどんどんアクティブになり、飛行機を使って国内外を旅することが一般的になった関係しているだろう。
特に海外を旅する若い女性は多く、空美ちゃんの間では、ヨーロッパ系エアラインのスタイリッシュなデザインが人気だという。中には、撮影のためにヨーロッパに渡る「強者」もいるようで、女性たちの航空熱はかくも熱い。
また航空業界も、まだ記憶に新しいJAL(日本航空)の経営破綻や、最近のLCC(格安航空会社)の台頭などによるさらなる競争激化で、危機感は強い。成田市としても、ライバルの羽田空港が再び国際空港として生まれ変わったのを、黙って見ているだけでは済まされない。空の玄関としての成田ブランドをさらに確固たるものにするため、「空美ちゃん」の勢いを借りたいと息巻いているのだ。
そんな航空業界や地元・成田にとって、活動的かつ元気がみなぎる空美ちゃんたちは、イメージアップの側面からも“勝利の女神”のように重要な存在だ。そんな彼女たちの動向に今後も注目していきたい。
(田島 薫/5時から作家塾(R))