テスラの事業展開と
資金繰りの悪化

 テスラの経営不安が高まったのは、同社が新型のモデル3の生産に着手してからだ。モデル3はテスラの従来モデルに比べて価格が抑えられ、航続距離は340km程度である。スペック上、加速性にも優れている。2016年3月の発表以降、価格面を中心に「待ちに待ったEVの登場」との見方から、多くの予約が集まった。

 この状況下でマスクCEOは、短期間に事業を急拡大しようとした。具体的には、モデル3の生産を完全自動化しようと試みた。それがうまくいけば低価格のEV開発と量産が可能となり、テスラのさらなる成長が可能になるとのもくろみがマスク氏にはあったのだろう。

 しかし、テスラおよびマスク氏の取り組みは、期待されたほどの成果を出せていない。モデル3の生産は遅れている。マスク氏は打開策として人海戦術による生産ライン構築を試みた。それでも事態は改善していない。2017年下期、10万~20万台のモデル3を生産することをテスラは目標に掲げていた。これに対して、実際の生産台数は2700台程度にとどまった。

 テスラの生産現場に相当の混乱が生じていると考えるのが妥当だろう。

 その結果、企業にとって肝心な資金繰りが悪化している。最終需要者(消費者)に販売する最終商品(EV)の生産が進まない以上、売り上げを確保して利益を手にすることはできないからだ。

 その状況の中で、生産ラインの安定のための取り組みが増え、機材の購入や労働力確保のための資金が必要になることは、キャッシュのアウトフローが増えることを意味する。テスラは、もがけばもがくほど苦しくなる状況にあるといえる。