テスラの財務内容と
マスク氏の言動には問題がある
4月1日、ある経営者のつぶやきが市場参加者を驚かせた。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、エープリルフールで“テスラが経営破綻した”とツイートしたのである。
昨年末頃から、ニューヨークの株式市場では同社の経営不安が高まっている。背景にあるのは、同社の新型セダン“モデル3”の生産の遅れやモデルSのリコール発生から、同社の財務内容が悪化するとの懸念だ。
7月に入り、テスラの経営不安はさらに高まっている。特に、テスラが部品会社に返金を要請したことは、同社の資金繰り悪化への懸念を高めた。完成品メーカーがサプライヤーに値下げを要請することはある。しかし、すでに支払った代金の返金を求めることは前代未聞だ。
市場参加者の間では、テスラがサプライヤーに“寄付”を求めなければならないほど、経営が行き詰まっているとの見方もある。経営の持続性への懸念は日増しに高まっている状況だ。当面、テスラの資金繰り悪化への懸念は高まりやすいだろう。
冷静に考えると、テスラには大きな可能性がある。高性能の電気自動車の実用化や、高速地下交通システムの実現に向けた取り組みなど、新しい発想を実現して成長を目指すマスク氏の発想は、多くの注目を集めている。
問題は、同社の財務内容とマスク氏の言動だ。
同氏はアナリストからの質問を「クールじゃない」と一蹴し、不興を買ったことがある。経営に不安を感じる市場参加者に冗談を飛ばすのも、苦し紛れのごまかしに見えてしまう。マスク氏が経営トップの座に居続ける間、同社の経営は一段と厳しさを増すと考える専門家もいる。