皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
来週は、首都圏の「マンション」販売状況や東京をはじめとする大都市の「オフィスビル」空室率といった不動産関連のデータが発表されます。好調な景気や訪日客の増加が大都市を中心とした不動産需要を高め、不動産価格全般の上昇につながっていると報じられています。
一方で、投資用不動産に絡む不祥事が世間を騒がせていいて、収益が確保できない恐れのあるマンションやアパートが多数建設され、市場に供給されているとの見方があります。都心では依然としてタワーマンションが人気を集めていて、都心と郊外の不動産市況で二極化が進んでいるとのニュースも目にします。
このように、多くの話題が見聞きされる昨今、不動産市況の現状や今後の見通しについて、関心の高い読者も多いのではないでしょうか。そこで、今回は東京を中心としたマンション市場とオフィスビル市場に焦点を当ててみます。
マンション価格は高い状態が続くが、「契約率」は低調
まず、不動産経済研究所が毎月発表している「首都圏のマンション市場動向」を見て、新築マンション市場の状況を確認してみましょう。
それによると、7月には、首都圏で新築マンションは2986戸が発売されました。前年の同じ月と比べて12.8%の減少です。契約に至ったのは2024戸で、契約率は約68%です。一戸当たりの価格は6191万円と、依然として高水準が続いていますが、前年と比べると5.7%のダウンとなっています。
これら4つの数字から、現在のマンション市場の様子が浮かび上がってきます。
このうち「発売件数」と「契約件数」は、住宅業者が市況を見ながら調整して販売計画を立てていると見られることから、マンション市場の状況いかんによらず、比較的安定的に推移します。そこで、ここでは「販売価格」、「在庫件数」と「在庫率」(=在庫件数/直近12ヵ月間の契約件数)、「契約率」に注目したいと思います。