そこで九州電力は、まず火力発電を最低出力まで抑え、次に多過ぎる太陽光発電による電気の一部を揚水発電所(水力発電所)で水を高いところまで汲み上げる(夜の時間帯にその水を落として発電する)ことに使って、何とか“同時同量”を維持し、ブラックアウトが起きないようにしました。

 私たち一般国民からすれば電気は常に供給されて当たり前ですが、その裏側では、このように電力会社が24時間365日ずっと“同時同量”を維持して、ブラックアウトが起きないよう、本当に大変な思いをしながら頑張っているのです。日本で初めてブラックアウトが起きたからこそ、その目に見えない努力は正しく評価していいのではないでしょうか。

復興に向けて日本が一丸に
ブラックアウトの総括は不可欠

 以上、いろいろと述べてきましたが、現段階ではもちろん、早く苫東厚真発電所が全面復旧し、節電や計画停電が不要になるようにすることが最優先です。

 そして、もちろん電力供給が全面的に復旧しても、それは北海道の復興にとっては1つの問題が片付いただけに過ぎません。実は、私の妻の実家は札幌市清田区にありますが、清田区は土地の液状化で大変なことになっているというリアルな状況も聞いています。

 さらに言えば、台風21号により関西国際空港を筆頭に大きな被害を受けた関西地区も、復興に向けた道のりは大変だと思います。

 被害に遭われた皆様や地元の関係者の皆様は、復興に向けて本当に精一杯頑張っていらっしゃることと思います。日本全体がそうした方々に寄り添い、でき得る限り、あらゆる応援をして行きましょう。

 そして、それが一段落したら、日本初のブラックアウトという大変な事態をしっかりと総括する必要があると思っています。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)