法人向け事業がドライバー

 現在、ファーウェイが成長のドライバーとして定めているのはエンタプライズ事業だ。売上高に占める構成比は9.1%にすぎない最弱事業だが、将来の伸びしろは大きい。

 ここでも鍵になるのは、R&Dだ。ファーウェイは、チップセットや通信技術を強みとしており、将来的にパートナー企業と競合することになる、ソフトウエアやアプリケーション(自動車や医療機器)は手掛けずに任せるというルールを設けている。ファーウェイがパートナーに提供するのは、インフラ部分までと境界線を引き、黒子に徹することでビジネスの間口を広げているのだ。

 昨年、深セン本社に大学の研究室のような、手作り感のある実験室がオープンした。この「ワイヤレスXラボ」は、ファーウェイが持つ5Gの技術を下地に、あらゆる産業でどんな実用例が考えられるのか、パートナー企業と連携して開発を進めるラボだ。実際に、上海ラボにある医療機器や模型自動車を、深センから遠隔操作できる。

 ワイヤレスXラボのアレックス・ワン・ディレクターは、その具体例として、VR(バーチャルリアリティー)や空域での交通システム、ヘルスケアなど6分野のシナリオについて説明してくれた。

 特に、興味深かったのは、自動運転に関する将来の見通しだ(下図参照)。10年後の28年には、ドライバー1人に対する自家用車数が3台になるというもの。完全自動運転の実用化まではいかないものの、自家用車を遠隔操作するのが当たり前になる世界がやって来るという試算だ。“本職”の自動車メーカーでも、ここまで野心的な試算をはじいている例はまれで、ファーウェイの技術革新に懸ける貪欲さが垣間見える。

 にもかかわらず、米国など主要国で「5G」からの締め出しを食らっているファーウェイ。創業30年で初めて、自助努力だけではソリューションを見いだせない正念場を迎えている。