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『銭の考古学』
鈴木公雄著
(吉川弘文館/2002年)

 今、金融の世界に大きな変化が訪れている。AI(人工知能)による金融業の変容はもとより、電子通貨の登場は貨幣そのものの性質を転換させる可能性を秘めている。貨幣とは、商品としての価値を持つ(金貨・銀貨など)か、政府の信用に裏付けられている(紙幣など)と考えられてきた。

 しかし、電子通貨はこれらのいずれの特徴も満たさない。空前絶後の現象……と思われるかもしれないが、歴史の中では政府によって通用が保証されたわけでもない貨幣が広く用いられていたことがある。その一例が中世の日本だ。

 歴史学・考古学の知見を織り交ぜながら、古代~近世の貨幣について紹介する本書は、金融・マネーの転換点を迎えた私たちに新たな刺激を与えてくれる。

(明治大学政治経済学部准教授 飯田泰之)