「そこ、自分でなんとかするからと言って(笑)」

 野々村社長は、最低限の戦力維持に必要な資金を確保するため、足りない分については自ら営業してカバーしようと考えていたのだ。実際、このシーズンの経営資料によると、最終的な強化費は3.5億円が計上されており、当初の予定から1.6億円を積み上げた形だ。

コンサドーレ札幌を立て直した野々村社長
ノノムラ・ヨシカズ/1972年5月8日生まれ。静岡県清水市出身。1995年ジェフ市原に入団。2000年コンサドーレ札幌に移籍。ボランチとして攻守のバランス役を務め、J2優勝に貢献。2001年チームのキャプテンに就任し22試合に出場。同年29歳の若さで現役引退。引退後も同チームのアドバイザーを務めながら、解説者生活をスタート。2013年コンサドーレの運営会社である北海道フットボールクラブ顧問に就任。同年3月、代表取締役に就任。  Photo by T.E

 自ら資金をかき集めた野々村社長が就任当初意識していたのが、「まずはクラブをつぶさないということ。そして、少しでも強くするということ」だった。

 2013年の営業収入は10.7億円。これが2017年には26.7億円となり、3倍近くに増加。「つぶさない」ことと「強くする」ことは、ともに資金を集めることで解決できる。だからまず、野々村社長はここに注力したのだ。

 就任直後の危機を脱しつつ、2013年から2017年までの6年間で年間の売り上げを約3倍にした野々村社長は、「売り上げ10億円から始めて、今年(2018年)はたぶん30億円くらいになると思います。根拠のない感覚ですが、この辺りまでは自分が動けば行くと思っていました」と話す。

 なぜなら、札幌にはポテンシャルがあるからだ。空調が完備されたホームスタジアムである札幌ドームはもちろん、アクセスに必要な交通インフラも整っている。さらに商圏としての規模も十分だ。

「札幌ドームが200万人の都市にあり、北海道には500万人が住んでいて、ローカルのメディアもそろっている。ここで大きなクラブになれなかったら日本のサッカーもだめだろうと思ったんですね」

 そんな自信の裏には、1つの確信があったという。

「子どものころからずっとサッカーを続けてきて、なんとなくサッカーには『価値』があるということは分かっていた。それを多くの人に分かってもらうことが、コンサドーレの立て直しに直結すると考えていた」のだ。サッカーの価値を知っている野々村社長だからこそ、札幌という地方都市でも持続可能な運営が可能だと見ていたのだ。