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気はやさしくて胃痛持ち
【第14回】 2012年5月9日
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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

飛び込み営業のきついノルマ。
自分ががんばらねば部下の賞与に響く

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 「Iチーム報告します。チーム員3名。訪問○軒、目標まであと○軒。月末までの達成率○%です」。

 数字が達成していない時の、会議室の張りつめた空気に耐えられない。この朝礼のたびに、Iさんは胃が痛くなる。この、毎月の達成率が、自分と部下の賞与に響く。

 Iさんの会社の社風は1人でも数字のいかない部下がいればチーム全体の責任。この全体責任の社風が最近悪いほうに働いている。

 「あいつがいるから俺のチームの成績が悪い。引き取ってくれないか」という声も管理職から出るようになってきた。

商店にターゲットを絞って飛び込みセールス

 責任感が強く、部下思いのIさんは、何とかチーム3人で厳しいノルマをクリアしてきた。

 今度の賞与も他のチームより良い賞与を部下に出してあげたい。その思いからいつも工夫を重ねていた。その一つが商店に対するアプローチだ。

 在宅率の低い一般家庭だけではなく、常に人がいる商店や、企業にターゲットを絞って飛び込みセールスをするようにした。商店街の人は、地元の情報に詳しい。「○○さんのお宅が転勤になった」「孫が生まれた」「お嫁さんを貰うから二世帯住宅に」。

 不動産売買は、人生で一番高い買い物。それは、その人の人生の転機と大きく関わっている。地元の商店の人と話をするようになってから、部下の表情が明るくなってきた。

 営業は人と話しながら元気をつけていく。冬の寒い雨の日や、夏の炎天下。資料の入った重いバッグを自転車に乗せて飛び込みセールスをする。丸一日誰とも話さなければ、誰でも疲れてしまう。

 最近目に見えて部下が元気になってきた。顔見知りの商店で、お茶を出してもらったり、お客さんを紹介してもらえるようになってきたらしい。「今日、駐車場が空いているから、そこなら売ってもいいと言ってもらいました」と報告をしてくれる。

 「チームが良い方向に向かっている。次のボーナスも何とかなりそうだ」。そう思うだけで、胃の痛みが軽くなるIさんだった。

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市川純子 [(財)日本ヘルスケアニュートリケア研究所]

1961年生まれ。財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所 所長。広告代理店で大手私鉄の広報を担当。その後PR会社に転職し、医薬品や化粧品分野に携わる。2003 年にJ&Tプランニングを設立。代表取締役に就任。研究や情報の開発も行いヒット商品を数多く手がける。医療健康美容分野の研究のために2010年財団を設立。


気はやさしくて胃痛持ち

失われた20年と呼ばれる日本経済。そんな長い停滞のなかをがむしゃらに、ひたむきに日々の仕事・生活を生きてきたビジネスマンたち。さまざまなストレスに耐えてきたカラダもそろそろ注意信号を出す頃。いろんな職場のいろんなビジネスマンのいろんな悩みと不調を少し悲しく少しおかしく紹介します。

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