「予定通りに仕事を終える人」と「いつも時間が足りない人」の決定的なちがい【行動経済学で読み解く】写真はイメージです Photo:PIXTA

気づけばまた締切に間に合わない――。多くのビジネスパーソンが抱えるこの悩みは、じつは本人の能力不足ではなく、人間がもつ本能に原因があるという。経済学と心理学を融合した行動経済学をもとにした、正確なスケジュールを組む方法とは?※本稿は、行動経済学専門家の相良奈美香『ポジティブアフェクトで幸せの仕組み化』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

「認知のクセ」で時間管理に
失敗するビジネスパーソン

 ビジネスパーソンにとって、タイムマネジメントは重要な課題です。

 けれど私たちの「認知のクセ」は時間感覚をも狂わせてしまうから恐ろしいのです。「きちんと計画を立ててから始めたはずなのに、予定した日には全然間に合わなかった!」というのがそれです。仕事でも試験勉強でも家事でも、これは頻繁に起こりうることですよね。

 私自身、最初にコンサルティング会社を立ち上げたときには、計画の誤謬に悩まされた時期がありました。

 たとえばあるプロジェクトで、「1日5時間やれば、10日間で終わる」と見通しを立てたにもかかわらず、たまたまその週は別案件で細かなやり取りが多く、こちらの仕事には1日3時間程度しか時間を割けなかったのです。

 しかも想定していたより手間のかかる仕事で、1週間過ぎたところで予定の半分も進んでいなくて青ざめました。「このペースだと、予定の倍かかってしまうかも!」とかなりヒヤヒヤしましたが、幸い、その翌週の仕事が予定より早く終わったため、こちらの仕事に割ける時間が増え、期日までに間に合わせられました。ギリギリセーフです。