「いっそのこと健康保険組合を解散させた方がマシ――」

 時事通信社の健康保険組合(時事健保)が、国が禁じる外債運用に手を出した揚げ句、多額の含み損を抱えている問題(4月17日に既報)。

 今度は、時事健保の最高意思決定機関である「組合会」そのものに、ずさんな組織運営がはびこっていた疑いが強いとして、厚生労働省が理事長人事や予算など一連の組合会の議決を無効とする行政指導を行っていたことが27日、分かった。同社の社員からは「“違法”組合会だ」との声も上がっている。

 関係者によると、時事健保ではこれまでの10年近い間、組合会議員の選挙の公示さえ行っておらず、時事通信社各部門の所属長が直接、議員を指名するなど、ずさんな運営が半ば慣例的に行われていた。例えば、組合会開催の際に会費で上京できるため、地方支局の単身赴任者を優先的に議員に選んでいたという。

 国の健康保険法で、組合会は、事業主の選定する議員と同数の被保険者(従業員)が選んだ互選議員により構成されると定められており、こうしたずさんな組織の実態が明らかになったことで、厚労省は組合会の議決そのものに法的効力が乏しいと判断、行政指導に踏み切ったと見られている。

 国の指導を受け、時事健保は4月下旬、前任の理事長が職務代理を務め、暫定予算での運営を余儀なくされるという「異常事態に陥っている」(同じ関係者)。

 また、時事健保は今年度から、「外債運用失敗の穴埋め」(同じ関係者)とも取れる保険料率の引き上げを決定。一部の同社社員からは「これほど料率が上がるぐらいなら、いっそのこと、健保を解散してしまった方がましだ」という声も出ていたが、この決定も無効に。時事健保では、年間2億円を超える別途積立金の取り崩しが続いており、より厳しい運営に追い込まれた格好だ。

 本誌の取材に対し、時事健保は「指導内容などの詳細は言えないが(指導を受けたことは)遺憾であり、速やかに改善していく」としている。

(「週刊ダイヤモンド編集部」 メディア問題取材班)