ウォーキングを楽しむシニア夫婦の様子写真はイメージです Photo:PIXTA

「健康のため」と始めたウォーキングが、やり方を間違えるとかえって心臓に負担をかけてしまうことがある。特に注意したいのが、準備体操をせずにいきなり歩き始めることだ。効率よく、かつ安全に心臓のポンプ機能を高めるには、「準備体操」「ウォーキング(有酸素運動)」「軽い筋トレ」の3本柱を組み合わせることが理想的だという。心臓への負担を抑えながら運動効果を最大化するには、どのようなポイントを意識すべきなのだろうか。※本稿は、山形県立保健医療大学理事長・学長の上月正博『100歳まで元気な心臓の育て方100』(宝島社新書)の一部を抜粋・編集したものです。

「ひ・な・ま・つ・り」で
心臓の準備を整える

 運動を始める前、私たちの心臓や血管、そして筋肉は、いわば「お休みモード」にあります。この状態から急に歩き出したり負荷をかけたりするのは、エンジンが冷え切った車をいきなりトップスピードで走らせるようなもの。心臓に余計な負担をかけ、予期せぬトラブルを招く危険があります。

 そこで重要になるのが、心身をスムーズに「運動モード」へと切り替えるための準備です。そのための合言葉として覚えていただきたいのが「ひ・な・ま・つ・り」という5つのポイントです。

ひ:広い範囲に関節を動かし、大きな動作で。
な:長く(1つの動きに10~15秒)。
ま:マイペースで。
つ:「ツー」と声を出しながら。
り:リラックスしながら。

 この「ひなまつり」には、2つの大きな役割があります。1つは「怪我の予防」です。関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高めることで、転倒や筋を痛めるリスクを減らします。

 そしてもう1つ、より重要なのが「心臓の保護」です。ゆっくりと全身を動かすことで、末梢の血管が広がり、血液の流れがスムーズになります。これにより、心臓が強い力で血液を押し出す必要がなくなり、ウォーキングや軽い筋トレなどのメインの運動に入ったときの心拍数や血圧の急上昇を抑えてくれるのです。