「なぜ、そうするのか」を論理的に学ぶ
売上の8割を占めていた大量生産に見切りをつけ、路頭に迷いながら、新規開拓に躍起になっていたときのことです。
それまでの私たちは、「決められたとおりに、決められた自動車部品をつくること」しか経験がなかったので、図面の読み描きがまったくできませんでした。
新規の仕事を取ってきても、渡された図面に何が描いてあるのか、さっぱりわかりません。
自分たちの手に負えないときは、外注(外部の職人)に大赤字を覚悟で頼っていました。
職人さんに、「図面も読めないかけだしなので、いろいろ教えてください」とお願いをして、作業を見学させていただいたこともあります。
私は興味津々で、職人さんにいろいろ質問をしたのですが、要領を得ませんでした。
私 「どうして、そこはそうしはるんですか?」
職人「これがこうなるから、こうなるんやと思うわ」
私 「では、こっちは?」
職人「昔からのしきたりやねん、これな」
私 「では、あれは?」
職人「そんなふうに言われてもな、わからへん。難しいこと言われても困るねんけどな」
私 「もう少し具体的に教えていただけますか?」
職人「うるさいな、おまえ。いちいち聞かんといてくれるか。悪いけど、わしにもわからへんねん」
要するに、その職人さんには、理屈や理論がありませんでした。
経験的、感覚的に仕事をしていたのです。
でも、経験や感覚に頼った仕事は、再現性が低く、非効率です。
そこでヒルトップでは、あいまいさを排除して、
「なぜ、そうするのか」「どうして、その数値なのか」
を体系的、具体的、論理的に教えるようにしています。