なぜ、日本人なのに、日本人相手に伝わる文章が書けないのか? 書いた本人はきちんと書いているつもりでも、伝わっていなければ意味がありません。接続語は文章の流れが明快になるので、上手に使うと文章が整理されます。記事末の接続語一覧表は必見です!
「うまく書けない」「時間がかかる」「何が言いたいかわからないと言われてしまう」――そんな悩みを解消する書き方を新刊『人一倍時間がかかる人のためのすぐ書ける文章術 ムダのない大人の文章が書ける』から紹介していきます。
接続語をフル活用して
読みやすくする
お花見当日は雨が降った。だから( )。
お花見当日は雨が降った。しかし( )。
接続語はその名の通り、文と文を接続する言葉です。文同士の関係を示し、文章の流れを明快にします。
読み手は接続語を使って、後ろの内容を予想しながら文章を読んでいます。
右の空欄も、皆さん予想を付けられたのではないでしょうか。一文目は、
と埋めたのではないでしょうか。順接の接続語「だから」が付いていますので、まあ、雨が降ったら中止だろうな、と順当な展開を予想したでしょう。一方、2文目は、こうなりますね。
逆接の「しかし」がありますので、普通だったら中止だけど、少し無理をして決行したのだろう、と予想できるわけです。
このように、接続語は議論の流れを示し、後ろの内容を導く働きがあります。適切に接続語が使われていると、読み手の予想と実際の文章とがかみ合い、抵抗なく読み進めることができるのです。
ただし、接続語も付け過ぎはNGです。文章を読みやすくするはずの接続語ですが、過剰になると、かえって邪魔者に。文章が読みづらい原因になってしまいます。なめらかに読みやすい文章では、5文に1回程度でしょうか。
特に避けたいのは、「しかし」「だが」を連発する文章。「しかし」などの逆接の接続語は、それまでとは反対の内容を導く語です。それまでの流れ、読者の予想を裏切るものです。それが何度も続くということは、議論があっちに行ったりこっちに行ったりしているということなのです。
次にそういう文例を挙げてみますが、例文を作った私自身も読みづらく感じます。
こういう文になってしまったら、逆接が1回で済むよう議論を整理しましょう。
柔軟性 ─(逆接)─ 信念の大切さ、と議論が整理されました。
なお、最終的な文章には多用しないほうがいいとしても、接続語は論理的に考えるヒントになります。多角的に物事を検討したり、考えを深く掘り下げたりするのに、接続語はパワーを発揮しますので、思考過程ではどんどん使ってみてください。
「逆に」という接続語を思い浮かべれば、自分の直感とは反対の意見を想定することができます。「つまり」という接続語を意識すれば、意見を端的にまとめられます。
会話や会議の中でも、意識的に活用してみましょう。