「『断らない救急日本一』という評価に加えて、そんな名医がいるんじゃ、患者さんが殺到しますよね。救命救急の現場はハードな職場というイメージが強いですけど、脳外科はどうですか。ブラックじゃないですか」

 尋ねると、首を横に振り、

「確かにハードですけど、ブラックじゃないです(笑)。僕は1人でも多くの患者さんを診て、症例を積みたいと思っているので。ここにいる医者は、みんなそうなんじゃないかな」

 医師の長時間労働が問題になっている昨今、この発言は、過酷すぎる労働環境に追い詰められた果ての過剰適応と感じる人もいるかもしれない。しかし、彼らの心は少しも破壊されているようには見えない。

 しかし9月1日には、共同通信の配信で、次のような記事が全国で一斉に報じられた。

◎医師の残業月100時間超 神戸の病院に是正勧告
 神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)が、労使協定に基づく時間外労働の上限(月80時間)を超えて医師を働かせたとして、神戸東労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが1日、分かった。過労死ラインの月100時間を超える医師も数十人おり、病院側は外来業務の負担軽減などを検討している。
 同病院は患者の受け入れ体制が優れているなどとして、4年連続で厚生労働省から全国の救命救急センターでトップの評価を受けている。
 ~略~
 病院の担当者は「是正勧告は真摯に受け止めている。救命救急センターとして病院の機能を維持しながら、長時間労働を減らせるよう取り組んでいきたい」としている。〔共同〕

 是正勧告のニュースと、救命救急センターがトップの評価を受けていることが紐付けされているため、「断らない救急」が長時間労働の元凶になっているような印象を受けるが、100時間以上の時間外労働をしたのは、宿直勤務や緊急の呼び出しが多い心臓血管外科や脳神経外科などが中心で、救命救急センターの医師は含まれていない。

 この報道を受け、SNS上では、「救急が断らないせいで、その後オペを担当する心臓外科や脳外科が長時間労働を強いられている」「断らない救急は、医師の犠牲の上に成り立っている」といった医師による批判的なコメントが相次いでいる。