死にたいわけじゃなく、思考をやめたかった

――心療内科に相談し、精神安定剤を服用することで症状は快方に向かいます。けれども再び大きな不安の渦に飲み込まれてしまう。母娘ふたりで自宅での夕飯を終えたある日、日常の延長線上のように、藤田さんが大量に薬を飲むシーンが淡々と描写されています。

 読んでいる人にとっては、いきなりと感じますよね。あれは自殺未遂って言われたら確かにそうなんだけど、私としては、とにかく良くなりたくて色んなことを試してみて、その中の1つだった、という感覚なんです。過激な方法ですけど、そういうやり方しかあのときはできなかった。

――「死にたい」のではなく、苦しさから逃れたかった?

 はい。死んじゃったら気持ちはなくなるじゃないですか。そうなれたらどんなに素敵だろうか、とそのときは考えていて、その思考をやめたかったんです。

 頭が考えることに疲れちゃってたんですね。

 だから、「寝たい」という気持ちと一緒くらいの感覚だったんです。寝て起きたら目は覚めるじゃないですか。そしたらまた不安について考えてしまう。もう目が覚めないようになりたかった。

正直に言うと忘れたい記憶

――2度の自殺未遂を経て、症状は悪化。それでも「娘のために絶対に治したい」という希望を原動力に、「認知行動療法」というカウンセリングを自力で見つけ出します。

「強迫性障害には認知行動療法が効く」っていう情報をネットで見つけたので、調べてみたら偶然、近所にそういう病院があったんです。早速そこに駆け込んで。

 最初は(これまでの経緯をお話するだけだったので)「なんでこれでお金取られるんだろう」って思ったんです。でも3回目くらいのときに、ちゃんとバチッと答えを導いてくれることがあって、「これはすごい。カウンセリングってこういうことなんだ」って初めてわかった。