大正HDは売上高(2018年3月期で2801億円)の約3分の1が医療用医薬品事業だが、他社から出た後発品(ジェネリック)による浸食などで、売上高は年々減少。そこに今春の薬価制度改革がとどめを刺したようだ。

 早期退職募集を発表した5月、大正HDは同時に議決権ベースで34%の株式を保有する製薬会社、富山化学工業の全株式売却を発表。これは医療用医薬品事業に見切りをつけ、売上高の約3分の2を占める大衆薬事業で生き残りを図る経営方針の表れと見られる。

大衆薬に未来は?

 大衆薬の業界団体「日本OTC医薬品協会」の前身「日本大衆薬工業協会」は、かつて一部業界関係者から皮肉と羨望を込めて、「日本“大正”薬工業協会」と呼ばれていた。それほどまでに大衆薬業界で、大正HDの存在感は大きい。

 だが、その大衆薬事業も前途洋洋ではない。

 大正HDが抱える3大ブランドのうち、風邪薬「パブロン」は好調なものの、栄養ドリンク「リポビタン」は下げ止まらず、売上高は毎年度約20億~50億円ずつ下がっている。大衆薬の発毛剤市場を独占してきた「リアップ」も、いよいよ8月に男性用シャンプー大手のアンファーから後発品が参入して牙城が崩れた。さらに年内にロート製薬なども参入見込み。市場活性化で追い風となるか、大正HDのパイが奪われるだけの結果となるか、読めない状況だ。

 故に大正HDは今年業界で最大のリストラだったにもかかわらず、複数の業界関係者は「厳しい業績見通しを思えば甘かった」と話す。

 創業以来の大決断が残った社員に奮起を促し奏功するか。退職加算金をもらって会社を去った元社員たちがほくそ笑む結果となるのか。環境変化の激しい製薬業界で、明暗はっきりする日はそう遠くない。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)