『隣人、それから。38度線の北』の写真
『隣人、それから。38度線の北』より

三浦 米軍の元幹部が「We are drifting toward war」と発言した。それは金正恩だって怖いはずですよね。今対話した方がいいと思って、文在寅さんの招きに応じたというのはあると思います。

 問題は、今後の北朝鮮の核をどう見るか。私は北朝鮮が核を使うつもりがあるとは思わないんです、先制攻撃されない限り。ただ、持っていることによって南との併合を有利な形で進められる。普通に考えれば絶対手放さないです。

初沢 僕もたぶん最後の最後まで北朝鮮は核を手放す可能性は低いと思いますし、アメリカも本当に全ての核を手放せ、というところまで追い詰めないのではないか。

 その一方で、最近の金委員長の言動から見て、「赤化統一」(北朝鮮による朝鮮半島の統一)の夢を捨てたのではないか、と思えるのです。南進の可能性を残すための核保有ではなく、見ているのはやはりアメリカでしょう。リビアだって核廃棄してから7~8年たって民主化運動が起きて、アメリカと国連軍が乗ってくることになった。核廃棄の直後ではなかったわけで、むしろそのような可能性に備えた安全の担保としての核を隠し持つ可能性も否定できないと思うんですよね。

三浦 トランプの商業的平和路線に乗っかって平壌を豊かにする方が理にかなっているし、韓国との統一をあえて早めて体制をリスクにさらす必要はないということになるわけでしょうね。

炎上で逆に広まった
「スリーパーセル」問題

初沢 ところで三浦さん、話は変わりますが、今年の2月にテレビ番組で「スリーパーセル(普段は一般市民を装った北朝鮮のテロリスト分子)に大阪が狙われやすい」と言及して大炎上しましたよね。北朝鮮のメディアまで反応していて驚いたんですが。

三浦 北朝鮮からの批判は読みました。やっぱり彼らは日本という国を読み切れていないんだなと思いましたね。権威主義体制なので民主国家の言論の自由を理解できない。全てを上からの指令として見てしまう。ただ、よく日本社会を見ているとも思いました。たぶんネットに頼っていて番組での発言そのものまではちゃんと見ていないんでしょうけれど。