だが、こうした提案は、北朝鮮が非核化の意思を示したものではなく、逆に米国の要求を何としても避けたいがための代案だと考える。

 従って、米国が安易に米朝交渉に飛びつくのは危険だといえる。むしろ、じっくり北朝鮮の意図を探ってから望むべきだ。心配なのは、この会談に対してトランプ大統領が、「北朝鮮と韓国からとてもいいニュースが届いた。彼らは首脳会談を行い、いくつかのすばらしい回答があった」と評価していることだ。

 北朝鮮は、南北首脳会談で非核化に前向きになったのではなく、米国を引き出す工作をしているのだ。北朝鮮の交渉手法を理解していれば、このような回答にはならないだろうし、より慎重に見極めるのではないか。仮に中間選挙前に米朝首脳会談を実現し、成果を上げることを期待しているとしても、もっとじっくり腰を据えた方が北朝鮮からより多くの譲歩が得られるだろう。

 文在寅大統領も、米朝首脳会談を実現させたいと希望していることは周知の事実だが、前回の米朝首脳会談の折も、韓国から米国に北朝鮮の真意が正確に伝わっていたとは言い難く、それが6月の米朝首脳会談における曖昧な合意に終わる結果を招いたことを反省すべきだ。

 そこで今回は、北朝鮮の意図をより正確に米国に伝え、米朝首脳会談に臨むべきか否か、そして実現した場合には米国が何を目指すべきかを、しっかりと伝えてもらいたい。ただ、文在寅大統領はこれまで米国に北朝鮮を売り込むため、意図的に北朝鮮を評価してきただけに、今回も心配だ。

必要最小限の譲歩で
最大限の見返りを求める

 北朝鮮外交の第3の特徴は、必要最小限の譲歩で最大限の見返りを求めるという点だ。

 平壌共同宣言のポイントを見ると、第1のミサイル発射施設の廃棄について、海外の専門家を立ち合わせると言っている点は新しいが、廃棄自体はすでに始まっている。第2の寧辺の核施設を「米国の相応の措置」に応じて廃棄する用意があるという点についても、すでに米国に内々伝えていると報じられている。