熱海の温泉街
熱海の温泉街 Photo:PIXTA

レビュー

『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』書影
『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』 市来広一郎著  東洋経済新報社 1512円(税込)

 かつて首都圏の近郊にある温泉地として栄えた熱海。高度成長期から徐々に人気がかげり、20世紀末から2000年代には「衰退した観光地」の代名詞となっていた。1960年代には530万人だった旅館やホテルの宿泊客は、2011年には246万人と、半分以下に落ち込んでいたという。しかし2015年には308万人までその数値を伸ばし、わずか4年間で20%のV字回復を見せている。

 本書『熱海の奇跡 いかにして活気を取り戻したのか』で著者は、熱海再生の要因として、大型温泉ホテルの廃業後に時代のニーズに沿った低価格ホテルが次々と作られたこと、2007年頃から団塊世代の退職に伴い別荘が増えたことなどを挙げている。しかしそれと同時に、これらの外的要因だけが熱海再生を支えたわけではないとも述べている。

 著者は、熱海にUターンし、熱海再生のためのNPOを立ち上げた人物だ。彼らが民間の立場からどのようなアプローチによって熱海を再生させたのか、本書にはその努力と試行錯誤の経緯がふんだんに紹介されている。