費用項目を改めて確認すると、ネット企業ではあまり目にしない巨額のR&D(研究開発費)14%が要因だと感じられます(競合のYahoo! Inc.はR&Dとしての金額は開示しないくらいにわずかな金額です)。
R&Dを営業利益に全額足し戻すと46%(32%+14%)なので、ネット広告モデル企業の優良水準といえるレベルにほぼ達します。こうした巨額のR&Dが先のリストに挙げた、Android OS、Google+、Gmail、Google Chrome、そしてそれら技術やサービスをサポートするクラウド・コンピューティングに投下されていることは間違いありません。
Larry Page CEOが語るGoogleの長期経営
こうしたGoogleの先行投資、すなわち当面は費用が先行するばかりで利益どころか売上にも結びつかない分野への投資に対しては、株主をはじめとするステークホルダーからも不信が高まりつつあるようです。
そんな背景もあってか、同社は2012年4月5日、「2012 Update from the CEO」を投資家向けに発表しました。A4用紙8枚にわたるLarry Page CEOの訴えたいメッセージです。IT分野に携わる方にとっては一読の価値がある書類でしょう。
そのなかで、こうした長期的視点に立った投資について、Page CEOは次のように述べています。
We have always tried to concentrate on the long term, and to place bets on technology we believe will have a significant impact over time.(私たちは常に長期的な視点に立って、将来大きな影響を及ぼすであろうと信じる技術にかけてきました。)
この後、検索エンジンを始めたときはもう終わった技術だと揶揄されたこと、Google Chromeを立ち上げたときはブラウザはもういらないと言われたのに、現在は2億人がChromeを使っていること、webmailはおもちゃだと思われていた頃にGmailを立ち上げ、現在は3億5,000万人が使用していること、YouTubeの買収は多くの疑念を買ったものの、現在では毎月8億本のビデオがアップロードされていることなどを、列挙しています。
そして、こう結んでいます。
People rightly ask how we’ll make money from these big bets. We understand the need to balance our short- and longer-term needs because our revenue is the engine that funds all our innovation. But over time, our emerging high-usage products will likely generate significant new revenue streams for Google as well as for our partners, just as search does today. (中略) Our goal is long-term growth in revenue and absolute profit—so we invest aggressively in future innovation while tightly managing our short-term costs.
上記はあえて訳しませんが、ちょうど良い機会でもあります。Googleの翻訳機能を使って、どこまで正確に訳されるか(そうではないのか)、ご自分で確認してみてください。
いずれにしても、売上と利益を長期にわたって成長させ続けることがGoalであり、そのために長期的な視点に立ったinnovationへの投資を行うのだとしています。