大津広一
難解になりがちな「ROICの考え方」を現場社員に伝えるためにオムロンがしてきたこと【書籍オンライン編集部セレクション】
オムロンによる、ROIC道場、伝道師、翻訳式といった一連の取り組みは、ROIC経営を社員一人一人が理解し、納得し、行動してもらうことがいかに重要であり、またいかに容易でないかを物語っていよう。

【エーザイ】価値創造レポートに見る人的資本など非財務資本と株式価値の融合
「知的資本」「人的資本」といった非財務資本と、経済的な株主価値との整合性に疑問をもつ方もいるだろう。そんな方にとって一見の価値があるのが、エーザイの価値創造レポートである。

東証が開示好事例として取り上げるエーザイのROE
エーザイのROEは、2020年3月期時点で18.6%に達している。自社の株主資本コストについて「製薬企業はディフェンシブ銘柄であるものの、当社としては保守的に株主資本コストを8%と仮定している」というエーザイの考え方をさらに分析してみよう。

予測ROEを用いた3つの株価評価のアプローチ
ROEは株価に直結する指標であり、株価評価(バリュエーション)にも多用される。しかし、ROEが8%未満の水準では、いくらROEを向上させても、PBRが上がるのではなく、PERが下がるだけだ。

ROEの上昇は株価・配当の上昇に結びつくのか?
ROEが高くても株主が幸せであるとは限らない。株主が金銭的なリターンを得て幸せになるのは、キャピタルゲインとインカムゲインが得られたときでしかない――。たしかにROEが上昇しても株主は幸せにはならないが、この言説は本当だろうか?

【カカクコム】高ROE43.4%をブレークダウンして「総合力」を分析する
ROEは、株主のための指標であると同時に、企業の収益性や資産効率性、財務レバレッジという「総合力」を分析するうえでも大変有益な指標である。今回は、2020年3月期に連結ROEが43.4%と非常に高水準にあるカカクコムについて分析していく。

ソフトバンクがかつて重視した経営指標「EBITDA」の役割
EBITDAは現有する資産の稼ぐ力なのだから、売上高から効率的に稼げているか、有利子負債に見合った稼ぎ力か、そして株主までを含めた企業価値に見合った稼ぎ力かを判断するために、たいへん重宝する指標である。

ファーストリテイリングのROAが異常なまでに高いのはなぜか
ROAを高めるには、売上高利益率(収益性)と総資産回転率(資産効率性)の2つの数値を上げるのが理想だが、両者には一般に負の関係性が存在し、いいとこ取りの事業はそう簡単には存在しない。ところが、最近はそれを可能にする事業モデルが登場した。ファーストリテイリングに代表される製造小売業(SPA)である。

川崎重工業の失敗から見えるROIC経営への示唆とペンタゴンモデルの提唱
複数事業で大型プロジェクト損失を計上し、他の要因とも合わせた収益性低下でROIC他大半の数値目標が未達に終わった2017年3月期~2019年3月期の中期経営計画「中計2016」を振り返り、川崎重工業は「事業の『選択と集中』基準が不明確で実行スピードが不足」と結論付けた。

日本企業だけがROEにこだわっているように「見える」理由
日本企業と欧米企業の間にいまだ存在するROEへの姿勢の違いは、いったいどこから生まれているのだろうか。

ROAだけでは見逃してしまう! ROICからわかる三菱食品の高い資本収益性
売上高総利益率は6.6%、売上高経常利益率は0.7%と、P/L上の利益率しか見ないでいると三菱食品の魅力は十分に伝わらない。売上債権と棚卸資産の合計額以上に食品メーカーに対する仕入債務を保有している事実まで目をやると、景色は変わってくる。

EVAで「失われた15年」を作り出したソニーは、ROIC導入でどのように復活したか
EVAで失われた15年を作り出したソニーが、実質的には同じ経営指標であるROICで復活を果たした。経営指標そのものが良い者、悪い者では決してない。すべてはその運用の仕方だということを明示する好例であろう。

イオンモールはこれから海外で成長する?「経営指標の変更」でその戦略の意図がわかる
DEレシオからEBITDA倍率へと財務健全性の経営指標を変更するイオンモールには、有利子負債を最大限に活用したグローバル成長戦略の意思表明の表れを見出すことができるであろう。

競争の激しい通信業界で、NTTの株価が10年連続で安定成長している理由とは?
NTTの株価が過去10年度にわたっても基本的には安定した成長を遂げ、株式時価総額でも国内5位以内に常に立ち続ける原動力として、「経営指標EPS」が大きく寄与していることは間違いなかろう。

アサヒグループがコロナ禍でも「安定操業」できているのはなぜか
いかなる企業の安定したFCFの推移や経営目標であっても、その裏側にはたゆまぬオーガニックな成長の努力と、次なるステージを目指した積極果敢なM&Aというストーリーが支えているのである。

アマゾンが「究極の財務諸表はフリー・キャッシュフロー」だと断言する理由
「我々の究極の財務指標であり、また長期にわたって成長させていきたいと考えているのは、1株当たりのフリー・キャッシュフローです」。これは、米アマゾン・ドットコム(以下、アマゾン)の2004年度アニュアルレポートの冒頭「株主への手紙」の中で、創業者ジェフェリー・ベゾスCEOが株主に向けて記載したものである。

M&Aを繰り返すリクルートがEBITDAを採用すると都合がいいのはなぜか
EBITDAを語る日本企業は多数あっても、セグメント情報にまでEBITDAをメインに作成する企業はほとんど存在しない。リクルートのEBITDA重視の経営は徹底している。セグメント情報を見れば、EBITDA(セグメント利益)2416億円と営業利益1628億円の間には、788億円の開きが存在しているが、その大部分は減価償却費及び償却費がもたらしている。

難解になりがちな「ROICの考え方」を現場社員に伝えるためにオムロンがしてきたこと
オムロンによる、ROIC道場、伝道師、翻訳式といった一連の取り組みは、ROIC経営を社員一人一人が理解し、納得し、行動してもらうことがいかに重要であり、またいかに容易でないかを物語っていよう。

日立製作所から見る「良いROIC経営」と「悪いROIC経営」を見分ける3つのポイント
今やROICを語る日本企業は増加の一途をたどっている。しかし、真に魂のこもったROIC経営を実行しようとしている企業もあれば、ROICの掛け声だけで中身はあまり伴っていないのではないかと思わせるROICの表明も散見される。そんな両者を見分ける3つのポイントに触れながら、日立製作所(以下、日立)の優れたROIC経営を掘り下げていくことにしよう。

みずから外資子会社になってまで追い求める日本ペイントの「売上高成長率」への執念
日本ペイントホールディングス(以下、日本ペイント)はその企業名から連想すると、日本の塗料事業という成熟産業において、足掻きもがいている姿をイメージするかもしれない。しかし、実態は日本企業の中でも類まれなグローバル成長戦略をまい進しようとする企業である。
