三越伊勢丹ホールディングスの新潟三越や伊勢丹相模原店などの店舗閉鎖発表に続いて、今度はセブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう・西武の売却説が浮上している。相次ぐ閉鎖や売却説が飛び出す百貨店はその役割を終えたのか。はたまたビジネスモデルの転換で復活があり得るのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
“次”の閉鎖候補店舗探しで
「そごう・西武の売却説」が急浮上の理由
三越伊勢丹の店舗閉鎖発表後、業界では早くも“次”の閉鎖候補店舗探しが始まっているが、この店舗閉鎖の発表とほぼ同時に浮上してきたのが、一部で報じられた「そごう・西武の売却説」だ。
ある流通関係者はこんな自説を披露する。
「そごう・西武は鈴木さん(セブン&アイ前会長、現名誉顧問)が強力に進めてきた話。その鈴木さんが退任しているのだから、現経営陣にとって何の未練もないはず。売却もありうるだろう」
セブン&アイの鈴木名誉顧問は経営者だった当時に相当、百貨店という業態に固執してきた。
日本のコンビニエンスストアを生み育てた合理主義の鈴木名誉顧問がなぜ、百貨店というチェーンストアとは相いれない業態に、それほどまでに固執してきたのだろうか。
「百貨店というステータスへの憧憬ではなかったか」(大手百貨店幹部)
思い起こせばスーパーを定着させた、流通の第1世代もそんな思いが強かった。
ダイエー創業者の故中内功氏は高島屋に目をつけた。医療法人十全会を通じ、高島屋株約10%を取得。高島屋に業務提携を迫ったことがあった。