大統領選挙に向けて
保護主義が再起動か

 米中関係を除き、中間選挙前に一旦は小康状態を迎えたように見える貿易摩擦だが、中間選挙が終わった暁には、トランプ大統領の保護主義的な通商政策が、これまで以上に厳しい環境で再起動されるリスクがある。それには3つの理由がある。

 第一に、中間選挙が終われば、直ちに2020年の大統領選挙に向けた思惑が動き出す。選挙との関係で考えれば、むしろ保護主義の有用性は高まるはずだ。

 トランプ大統領の保護主義的な通商政策については、「中間選挙対策に過ぎない」という指摘が少なくなかった。そうであるとすれば、中間選挙の終了は保護主義修正の機会になり得る。NAFTA改定などの成果も得ているのだから、この期に及んで保護主義を続ける理由はなさそうだ。

 しかし、こうした楽観論には、決定的な欠陥がある。中間選挙が終われば、すぐに2020年の大統領選挙が視野に入る。トランプ大統領にとっては、議会という「他人」の選挙である中間選挙とは異なり、自らの進退が決まる大事な選挙である。これまで以上に、持論である米国第一主義を強調するのは自然だろう。

 それでなくても米国の大統領選挙は、中間選挙よりも保護主義的な主張が目立ちやすい。全米各地の選挙区に候補者が立つ中間選挙では、地域によっては保護主義を好まない議員が存在する。言い換えれば、中間選挙の対策としては、必ずしも保護主義は万能ではない。

 一方で、大統領選挙においては、オハイオ州などのラスト・ベルトと呼ばれる中西部諸州の製造業地帯の行方が、選挙結果を決める場合が多い。中間選挙と比べると、選挙戦略として保護主義の有用性は高い。

 第二に、中間選挙によって、議会の構成が変わる。現在、トランプ大統領の共和党は苦戦を強いられている。特に下院では、民主党に多数党の座を奪われかねない。

 共和党の敗北に、保護主義修正のきっかけを求める見方はある。そうした見方によれば、保護主義を掲げての敗北となると、共和党議員から軌道修正の圧力が高まる。何より、多数党の座についた民主党が、あらゆる側面でトランプ大統領の政策運営を妨害する、というわけだ。