経営×経理

 さて、自社の場合はいかがでしょうか。現在の会計ソフトを選定した理由はどのような経緯があったのでしょうか。思い出してみてください。もしも、「大人の事情を優先する」という悪しき文化がわずかでも残っていれば、自社の経営の要にあたるツールの選択を軽視しているといい切れるでしょう。

 もちろん、昔からの付き合いがあってこそ、現在の自社の地位があるのだろうし、そのシステムが総合的に見て最良なものであれば問題はないのでしょうが、この先も将来にわたって“大人の事情”を優先すれば、法改正やM&A、あるいは社内での新事業部発足・統合といった外部・内部環境の変化に早急に対応しなければならなくなった際に、現場とのやりとりが良好に進みません。システム再編やオペレーション指導に時間やコストが大幅にかかるといった問題が発生することも十分に考えられます。

 本稿の読者がもしシステム導入のジャッジをできる立場の方であれば、まずは選定方法の精査を十分に行い、今後の運用に支障がないか、コスト面はどうかなどをチェックする必要があります。そして、経営幹部に当たる方であれば、経営資料を今一度思い返してみてください。今後の経営にあたって何かしら要望はないでしょうか。もしもあるのなら、経理部長に対し、今の会計ソフトで実現できるのか、リクエストしてみてください。

 そこで、すぐに対応できるか、あるいはすぐにはできなくても工夫次第で可能なのか、すでに改善にあたっているのかということについて、経理部長が発する回答から現状が炙り出されるはずです。

経営ツールの要ともいえる
会計ソフトの「綻び」を見逃すな

 自社の経営ツールの要である会計ソフトがどの程度のものかを見極め、もしも炙り出されたものの中に綻びが見つかったとしたら、それはひょっとして“大人の事情”が足かせになっているのかもしれません。しっかりと真実を見極めて、経営体質や社内文化といった基礎的な点についてそもそも改善すべきところはないかを、考えてみることです。

 場合によっては、一経理マンであるあなたが陣頭指揮を執らなければならないことも十分にあり得るのです。

(ビジネス作家・経理環境改善コンサルタント 田村夕美子)

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大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道

経理スタッフは「定型的な事務作業をこなす人材」と捉えられがち。彼ら彼女へ向けられる仕事の効率化と言えば、“仕訳の自動化”“仕事を属人化させない”といった、表面上の作業の改善を求めるものばかりだ。しかし、本来は経理=経営管理者なのだ。経理の能力を伸ばし、経営のために力を借りるにはどうしたらよいのか。様々な業種の経理畑を歩み、一担当者から管理職まで様々な立場を経験した著者が、経理環境改善のコンサルタントとして、実務者・管理者への支援活動に当たる中で感じたことをまとめる。

「大人しい経理じゃいられない! 未来に続く経理道」

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